2027年から域外発行体や新たな決済技術への対応を検討
EU(欧州連合)は、EU域外に拠点を置くステーブルコイン発行者への監督を強化するため、MiCA(仮想通貨市場規則)の見直しを検討している。
2027年から大幅な見直しを検討し、国境を越えて流通するステーブルコインやトークン化決済など、現行制度で十分に対応できていない領域を整理する方針だ。
<b>域外発行のステーブルコインを巡る規制上の空白b>
今回の見直しでは、EU域外の企業が発行し、欧州の利用者に提供されるステーブルコインの取り扱いが中心的な論点となる。
現行のMiCAは、取引所やカストディ事業者などにEU共通の規制枠組みを整備した一方、外国で認可された発行者や、国境を越えて流通するステーブルコインに対する具体的な基準には不明確な部分が残されている。背景には、米国がドル連動型ステーブルコイン向けの連邦制度を整備するGENIUS法を導入したことがある。世界のステーブルコインの約95%が米ドルに連動しているとされる中、EU当局は米国など域外の発行者がEU市場で事業を行う際の法的位置付けを明確にし、域外の認可制度をどのように扱うか整理したい考えだ。
見直しではステーブルコインに加え、DeFi(分散型金融)、アルゴリズム型ステーブルコイン、トークン化された決済、デジタル預金なども検討対象となる見通しだ。欧州委員会は業界関係者から意見を募り、今後の立法措置に反映する。
ESMAはカストディ事業者への監督も強化
制度見直しと並行して、ESMA(欧州証券市場監督機構)は、認可を受けたCASP(仮想通貨サービスプロバイダー)のカストディ業務に対する共通監督措置を実施する。
審査は2026年後半から2027年前半にかけて実施され、顧客資産を保護するためのガバナンス体制、鍵や保管環境の管理、取引管理、インシデント対応、スマートコントラクトのリスク、外部事業者への依存などを確認する。結果をまとめた報告書は、2027年後半にESMAの監督委員会へ提出される予定だ。
審査対象は認可事業者のすべてではなく、各国の規制当局がリスクに基づいて選定する。執行は加盟国の当局が担い、調査結果をEU全体で共有することで、監督の一貫性を高める狙いがある。
MiCA登録簿に掲載された認可事業者が280社に増える中、EUでは制度見直しと並行して、ESMAを中心に現行ルールの執行と顧客資産保護の監督強化も進められる。ただし、2027年の見直しは勧告の取りまとめが中心となり、具体的な立法提案が採択されるのは2028年以降になる可能性も指摘されている。
























