ポーランド議会、PiSによる新たな禁止法案提出を受けて仮想通貨規制の見直しへ

ポーランド議会は新たな禁止法案提出を受けて仮想通貨規制の見直しへ

ポーランドの仮想通貨政策をめぐる議論は、4つの競合する仮想通貨関連法案の審議開始に伴い、さらに激化している。

ポーランド議会下院(セイム)は、4件の仮想通貨関連法案を審議。与党「法と正義」=PiSは別途、仮想通貨禁止案を提示しており、MiCA(仮想通貨規制法)の施行を巡る激しい規制闘争が繰り広げられている。この4件の関連法案は、政府、カロル・ナブロツキ大統領、ポーランド2050、連盟党から提出されたもので、以前にも仮想通貨規制を試みたものの、大統領が拒否権を行使。今回の複数法案の見直しは、その拒否権行使によって議会が交渉を最初からやり直さざるを得なくなったことが一因となっている。

争点となっているのは、ポーランド金融監督庁が仮想通貨企業に対してどの程度の執行権限を持つべきか、具体的には口座凍結や最高罰金の賦課権限の上限をどう定めるかという、技術的な側面は狭いながらも重大な問題である。

大統領案では罰金の上限を約2,000万ズウォティ(約8.7億円)としている一方、財務省案では上限を2,500万ズウォティ(約10億円)に引き上げている。この25%の差は、ポーランドの仮想通貨規制においてイノベーションを優先すべきか、投資家保護を優先すべきかという、より根深い意見の相違を反映している。

こうした複雑な議論に、PiSが仮想通貨関連活動の全面禁止を求める別の法案を提出。セイム議長のヴウォジミエシュ・チャルザスティ(Włodzimierz Czarzasty)氏は、4つの法案の審議が完了するまで、PiSによる禁止法案の審議は延期されると述べている。

現在のポーランド議会では、統一的な仮想通貨規制枠組みを単独で可決できるだけの支持を得ている政党が存在しておらず、分裂した政治情勢を反映している。第2読会は早ければ今週中にも行われる見込みだ。

PiSが独自の禁止案を提出

PiSの議員らは2026年5月11日(月曜日)、ポーランド国内での仮想通貨取引を禁止する新たな法案を提出。ポーランド通信社によると、この法案提出は、今週第一読会が予定されていた4月の仮想通貨市場法案へのPiS議員4人が支持を撤回したことを受けてのものだ。

注目点は、この変更によって野党のアプローチに政治的な分裂が生じたことで、PiSは以前、市場規制法案を提出していたが、今回の提案は規制から仮想通貨取引の直接禁止へと方向転換。この動きは、EU(欧州連合)の仮想通貨規制に対するポーランドの対応を注視している企業やユーザーにとって、さらなる不確実性をもたらす。禁止案は、現在議論されている政府案や大統領案よりもはるかに厳しい道筋を示すものとなる事が予想されている。

同通信社によると、チャルザスティ議長は仮想通貨をめぐる論争を「悪魔の舞踏のようなもの」と表現。また、ナブロツキ大統領が過去の仮想通貨関連法案に2度拒否権を行使した理由について疑問を呈した。彼の発言は、議論が規制設計だけでなく、政治資金問題にもおよんでいることを示している。

今のところ、ポーランドの仮想通貨規制の枠組みは未だ確定していない。議員らは4つの規制モデルを検討している一方、与党PiSの禁止案はそれらの背後で待機しており、議論の方向性を未確定のままにしている。