エルサルバドル、市場混乱の中でビットコインを大量購入し国家戦略を強化

ビットコインとエルサルバドルの国旗を象徴的に写したアイキャッチ画像

エルサルバドルが1,000BTC超を追加し、国家準備金を拡大

エルサルバドルが、ビットコイン(Bitcoin/BTC)価格が9万ドルを割り込んだ局面で1,090BTC(約1億ドル相当)を追加購入し、国家のビットコイン準備金を大きく積み増した。

今回の取得は1日あたりの購入量として過去最大であり、同国が進める長期的な蓄積戦略を改めて示すものとなった。エルサルバドルは今回の取得により、国家保有量を約7,400~7,500BTCまで引き上げた。今回の大規模購入について、ナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領はXで取引情報を共有し、今後も蓄積方針を維持する姿勢を示した。

政府関連ウォレットでは複数の大口取引が確認され、独立系トラッカーの分析とも一致している。こうした動きは、2022年から続く「1日1BTC」方針の延長線上にあり、下落局面での買い増しという同国の戦略が継続していることを示す。

市場の下落について、一部のアナリストは一時的な調整と見ており、キャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏は「9万ドル以下で購入できるのは最後かもしれない」と述べた。こうした強気の見方と重なる形で、エルサルバドルは下落時の積み増しを続けている。

IMF協定との整合性と、地域戦略の広がり

今回の追加購入は、エルサルバドルがIMF(国際通貨基金)と結んだ14億ドル(約2,201億円)融資契約の条件と整合性が取れているかに注目が集まっている。

同契約では、公共部門によるビットコインの新規購入を控えることが求められている。財務当局は「2月以降の取得はない」と説明していたが、政府の公式発表と食い違いが見られる。

一方で、エルサルバドルのビットコイン局はオンチェーン記録を根拠に「実際の購入が行われている」との立場を示し、透明性を強調している。IMFの報告書では、準備金の変動が内部移動による可能性も指摘されており、解釈の幅が残されている。

さらにエルサルバドルは、国内政策に加えて地域での存在感も高めている。7月にはボリビア中央銀行と覚書を締結し、ブロックチェーン分析やリスク評価に関する技術協力を開始した。BTCの規制やマイニング運用で蓄積した経験を共有し、ラテンアメリカにおけるデジタル資産政策のリーダーとしての立ち位置を明確にしている。

外部からの圧力や政策上の議論が続くなかでも、エルサルバドルは国家戦略としてビットコイン蓄積を強化しており、その動きは当面継続するとみられる。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム