アジアの取引所が仮想通貨トレジャリー企業を取り締まる

香港・ムンバイ・シドニーの金融街を背景に、仮想通貨市場の規制強化を象徴するイメージ。アジア地域の取引所とデジタル資産トレジャリー企業の関係を表現。

DATモデルに規制の波が広がる:各国取引所がDAT企業の上場を制限

インド、香港、オーストラリアの主要証券取引所がDAT(デジタル資産トレジャリー)企業の上場申請を相次いで却下している。

仮想通貨を主要資産とする企業への審査が厳格化しDATモデルは転換点を迎えた。仮想通貨メディアCrypto Indiaは2025年10月22日(水曜日)、インド、香港、オーストラリアの証券取引所が、DATを採用する企業の上場を相次いで拒否していると報じた。

(出典:Bloomberg

香港証券取引所は少なくとも5件のDAT上場申請を却下した。理由は、実体ある事業よりも流動資産に依存し、いわゆる「実体の乏しい資産保有型企業」と見なされる懸念があるためだ。

インドのボンベイ証券取引所も、上場資金を仮想通貨投資に充てる計画を示した企業の申請を却下している。

さらにASX(オーストラリア証券取引所)は、企業がバランスシートの半分超を現金同等物や仮想通貨で保有することを禁じる規則を施行しており、同国ではDATモデルの導入が事実上困難な状況となっている。

規制の狙いを整理する

上場企業は資産運用の器ではなく実質的な商業活動を示すべきだというのが各取引所の立場だ。ASX関係者は仮想通貨中心の企業にはETFなど受動的な商品形態の検討を促している。

市場の冷却がDATモデルに追い打ちをかける

今年は一部企業がビットコイン保有を梃子に株価押し上げを狙ったが、市場調整で流れが変わった。

マイクロストラテジーやメタプラネットなど主要DAT関連株は調整に歩調を合わせて下落し、多くが純資産価値と同水準かそれを下回って取引されている。調査会社10xリサーチはビットコイン財務会社の“魔法の時代”は終わりつつあると指摘。ビットマインのトム・リー会長もDATブームはすでにピークの可能性があるとし、同社が最近のレバレッジ解消局面を受けてイーサ保有へ重点を移したと示した。

先行と例外を見比べる

日本は完全な保有開示を条件にDATに前向きな姿勢を維持し、アジアで最多のDATを抱える。代表例がメタプラネット(Metaplanet)だ。一方、世界的指数プロバイダーのMSCIは仮想通貨保有率が50%を超える大手DATを指数から除外する提案を行っており、パッシブ資金の流入が抑制される可能性がある。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム