バイナンスの幹部が辞任
バイナンス(Binance)の最高戦略責任者パトリック・ヒルマン(Patrick Hillmann)氏は、米国内の他のコンプライアンス最高幹部が辞表を提出したと報じられる中、バイナンスを去ることが明らかになった。
海外メディアの報道によると、バイナンスの最高幹部数人が同社に対する規制当局の調査に対するジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)CEO(最高経営責任者)の対応を巡って辞任。ヒルマン氏のほかに、ハン・ウン(Han Ng)顧問弁護士、コンプライアンス担当シニア・バイス・プレジデントのスティーブン・クリスティ(Steven Christie)氏ら同社の幹部は、同CEOに退社を伝えたという。ヒルマン氏はツイートで、2年間の任期を終えて良い条件で会社を去ることを明らかにしており、今回の退社は、バイナンスにとって試練の時であると指摘しているほか、次のようにツイートしている。
Apologies for any typos, but I was not expecting to be tweeting about this today.
It’s true that I am leaving @Binance, but I’m doing so on good terms. I continue to respect and support @cz_binance and am grateful for having had the incredible opportunity to work under his…
— Patrick Hillmann (@PRHillmann) July 6, 2023
バイナンスを辞めるのは事実ですが、円満に辞めています。私は引き続きcz_バイナンスを尊敬し、サポートしており、彼のリーダーシップの下で働く素晴らしい機会を得られたことに感謝しています。
ここに来て2年が経ち…
バイナンスCEOはFUDと反論
ヒルマン氏は、2023年6月にバイナンスでの大量解雇に関する噂を批判し、同社は適正規模化ではなく、定期的な人材密度監査の一環として単に役割の再評価を行っているだけだと主張している。
4. More FUD about some departures. Yes, there is turnover (at every company). But the reasons dreamed up by the “news” are completely wrong.
As an organization that has grown from 30 to 8000 people in 6 years, from 0 to the world’s largest crypto exchange in less than 5 months…
— CZ 🔶 Binance (@cz_binance) July 6, 2023
一部の出発に関するさらなるFUD。はい、離職率は(どの会社でも)あります。しかし、「ニュース」が思い描く理由は完全に間違っています。
6年間で…
このツイートは、フォーチュン誌の報道を受けたもので、内部情報筋の話を引用し、DOJ(米国司法省)の調査に対する同CEOの対応をめぐって、ヒルマン氏を含むバイナンスの幹部数名が取引所を去ったことを示唆している。報道では、ハン顧問弁護士とクリスティー上級副社長が取引所を去ったと報じられているが、この報道に対し、同CEOはFUD(※Fear=恐怖+Uncertainty=不確実+Doubt=疑問=悪いうわさ)だとツイートし、報じられている幹部退任の理由は単なる思いつきで完全に間違っていると主張している。
さらに別の報道では、バイナンスのAPAC(Asia‐Pacific:アジア太平洋)およびMENA((Middle East & North Africa:中東・北アフリカ地域の略称))の法務責任者であるエレノア・ヒューズ(Eleanor Hughes)氏が代わって新たな法務責任者に就任し、2月に最高コンプライアンス責任者として入社したノア・パーラムン(Noah Perlamn)氏は同社に残ると述べている。
度重なる訴訟の中での退任
DOJは、バイナンスが米国の制裁に違反してロシア人に取引所を利用させていたとして調査していると報じられている。
6月にSEC(米国証券取引委員会)は、バイナンスが無登録証券を提供し、顧客資金を不正に使用したなどの疑いでバイナンスを提訴。SECは先月同社を相手取った訴訟で、バイナンスが国際プラットフォーム、米国プラットフォーム、その他の同CEOの管理企業間で顧客資産を不正に取り扱い、同時に制裁法にも違反したと主張している。
さらに、CFTC(米国商品先物取引委員会)も2023年3月、規制当局への適切な登録を怠った疑いでバイナンスを提訴しており、バイナンスにとって度重なる訴訟の中での退任となる。バイナンスは長年にわたり、規制当局と報道機関の両方によるこのような主張と戦っており、このような言説に反論するのは、ヒルマン氏であることが多いが、同氏は5月にバイナンスが顧客の資金と自社の財務を混ぜ合わせていると主張し、ロイター通信を激しく非難していた。