AWS障害でCoinbaseがダウン 中国のサイバー攻撃主張と重なり混乱拡大

データセンターの停電と赤い警告灯が光る様子を描いたデジタルイラスト。AWS障害による世界的なサービス停止を象徴している。

CoinbaseやSnapchatなど世界的サービスが停止

世界最大のクラウドプロバイダーであるAWS(Amazon Web Services:アマゾン ウェブ サービス)の障害が発生し、仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)をはじめとする複数の大手プラットフォームが一時的にアクセス不能となった。

障害は2025年10月20日(月曜日)早朝に発生し、数時間にわたり継続。スナップチャット(Snapchat)やロビンフッド(Robinhood)、ネットフリックス(Netflix)、ベンモ(Venmo)なども影響を受け、AWSに依存するインターネット構造の脆弱性が浮き彫りとなった。

AWS障害が暗号資産市場を直撃

コインベースは、「AWSの障害により多くのユーザーがアカウントにアクセスできない状況を認識している。すべての資金は安全であり、復旧作業を進めている」とX上で発表した。

障害は2時間以上続き、取引停止や遅延が発生。ユーザーの間では取引損失や訴訟の可能性を懸念する声も上がった。

ロビンフッドもAWSの障害を確認し、「サードパーティベンダーの不具合により一部サービスに影響が出ている」と発表。ユーザーに冷静な対応を呼びかけた。

AWSの障害はEC2内部ネットワークで発生し、複数のクラウド基盤システムが麻痺したとされる。Amazonは「全サービスの回復が進んでいるが、断続的な不具合が残る可能性がある」と説明。監視サイト「Downdetector(ダウンディテクター)」には1,100万件を超える接続問題の報告が寄せられ、2,500社以上が影響を受けた。

中国が米国のサイバー攻撃を非難 関連性巡り議論

同時期に、MSS(中国国家安全部)はNSA(米国国家安全保障局)によるサイバー攻撃を非難する声明を発表した。

MSSは「国家時刻サービスセンターがハッキングされ、国家データを窃取された証拠を入手した」と主張。中国の金融、防衛、運輸分野に影響が及んだ可能性を指摘した。

一方、Scythe(サイス)社のブライソン・ボルト(Bryson Bort)CEO(最高経営責任者)は「今回のAWS障害はサイバー攻撃ではなく、人為的ミスによるもの」と明言。複数の海外メディアは、中国のサイバー攻撃主張とAWSの障害が同時期に発生したことに注目し、これらの出来事が国際的な緊張や技術インフラへの不安を高めたと指摘した。

仮想通貨市場では、依然として中央集権的なクラウド基盤に依存している現状への懸念が浮上している。

クラウド集中リスクが再び浮上

今回の障害は、クラウド市場における巨大企業への依存度の高さを改めて示した。デジタル権利団体Article 19は「AWSの障害は民主主義の失敗だ」と警鐘を鳴らし、クラウドインフラの多様化を求めた。

インターネットパフォーマンス追跡会社Catchpoint(キャッチポイント)のメフディ・ダウディ(Mehdi Daoudi)CEOは、経済的損失が数千億ドル規模に達する可能性を指摘。「航空会社から工場まで生産性が失われ、世界的な物流にも遅延を引き起こしている」と述べた。

コインベースはその後、サービスがオンラインに戻り、ユーザー資産の安全を強調した。AWSは復旧作業を継続しているが、一部のサービスでは依然として不具合が報告されている。

暗号経済の依存構造を問う

今回の障害は、分散型金融の理念と、現実の集中型インフラとの矛盾を浮かび上がらせた。コインベースやロビンフッドの一時停止は、ボラティリティの高い相場で「アクセス不能リスク」がいかに大きいかを示す結果となった。

AWSの復旧作業は続いており、影響を受けた一部サービスでは接続が改善しつつある。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム