日銀副総裁がステーブルコインの普及拡大に向けた規制改革を訴える
日銀副総裁の氷見野良三氏は、ステーブルコインの普及拡大と、ノンバンク(非銀行系)金融セクターの成長に対応すべく規制改革を訴えている事をロイターが報じた。
同日銀副総裁は、非銀行系金融機関の急速な台頭と、世界の決済エコシステムにおけるステーブルコインの影響力拡大を踏まえ、世界の規制当局に対し、金融監督の枠組みを近代化するよう求めた。同副総裁は、世界の金融資産の半分がバーゼルIII (※1)の監督対象外となっていると警告し、健全性基準の近代化を強く求めた。
バーゼル銀行監督委員会が公表している国際的に活動する銀行の自己資本比率や流動性比率等に関する国際統一基準をバーゼル合意と言い、バーゼルIIIとは、世界的な金融危機の再発を防ぎ、国際金融システムのリスク耐性を高めることを目的として策定されたもので、銀行が想定外の損失に直面した場合でも経営危機に陥ることのないよう、自己資本比率規制が厳格化されている。
引用元:日本銀行
東京で開催された「GZERRO サミットジャパン2025」で同日銀副総裁は、今日の変化する金融環境において、銀行を中心とした従来の規制システムはますます時代遅れになっていると強調した。
新たな現実に対応するための国際的な健全性基準の近代化を望む
同日銀副総裁は、世界の金融資産の半分が現在、非銀行機関=バーゼルIII規制の適用範囲外にある主体によって保有されている点を危惧している。
G20によるバーゼルIIIの度重なる期限延期は、市場の変革に追いついていないと指摘している。特にステーブルコインは、従来の銀行預金を部分的に置き換え、国境を越えた価値移動のあり方を変革する可能性のある大きな力として台頭していると指摘したうえで、次のように述べている。
規制当局はこれらの分野で多くのことを行っていますが、さらに多くのことを行う必要があります。新たな現実に対応するために、国際的な健全性基準の近代化を継続する必要があります。
分散型資産や企業支援型デジタル通貨が拡大し続けるなか、同副総裁は協調的な枠組みがなければ、世界の金融はより大きな分断に直面する可能性があると警告した。
また、ドル建て預金システムで優位に立つ米国銀行が、将来の世界基準の形成において大きな優位性を持っていると指摘しており、主要経済国に対し、イノベーションと金融の安定性のバランスをとる統一規制の策定に協力するよう求めている。