ジェミニがIPO規模を縮小
大手仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)のナスダック(Nasdaq)上場は、20倍もの多くの注文を集めたため、同取引所は調達額を4億2,500万ドル(約626億円)に制限したと報じられている。
9月11日、ロイター通信は、仮想通貨取引所ジェミニの近日予定のIPO(新規株式公開)が20倍以上の応募超過となり、主幹事のゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)とシティグループ(Citigroup)が早期に注文受付を締め切らざるを得なかったと報じた。これはIPOの慣例を覆すもので、仮想通貨上場への旺盛な需要と、ジェミニの稀に見る抑制的な姿勢を示している。
従来の上場方法としては、IPO規模の拡大を控えるという決定は非常に異例な動きであり、投資銀行とジェミニ創業者のキャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏とタイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏は、調達総額に4億2,500万ドルのハードキャップを設定するという戦略的決定を下した。この仕組みは、潜在的な資本を犠牲にして株式の売出数を減らすため、金曜日にティッカーシンボル「GEMI」でナスダックに上場する同社を前に、希少性を生み出す形となった。
なお、SEC(米国証券取引委員会)に提出した通り、公募株式数1,670万株は、IPO後の同社株式の14%を占め、ナスダックは、上場と同時に5,000万ドル(約73.7億円)を非公開投資とするという。
希少性と価値の計算か
ロイター通信の報道によると、同社がSECに提出した書類に基づく需要の計算では、自主規制の上限なしで同社は約4億3,300万ドル(約638億円)を調達できたはずだという。
しかし、この数字は株式公開のみに関するもので、ナスダック自身による別途の5,000万ドルの私募による調達は含まれていない。また、投資家の熱狂的な買い注文により、取引開始のベルが鳴るかなり前から株価は大幅に上昇し、圧倒的な注文流入を受け、同社とその銀行は提案された株価レンジを上方修正せざるを得なくなった。株価は24ドル(約3,500円)から26ドル(約3,800円)に跳ね上がり、数日前の当初レンジ17ドル(約2,500円)から19ドル(約2,800円)という価格から大幅に上昇した。
この急激な価格調整は投資家の投資意欲の深さによるもので、同社の評価額は取引初日を前にして急上昇しており、ロイター通信によると、同社の時価総額は最高で30億ドル(約4,420億円)を超える可能性もささやかれている。
現在、ジェミニは慎重な姿勢を保っており、今週初め、計画の見直しを実施。ナスダックがIPOと並行して実施する私募を通じて5,000万ドルを同社に投入すると発表。また、個人投資家への株式割り当てを10%から30%に引き上げており、これは、ロビンフッド、SoFi、Webullを利用する一般投資家が、当初の予想よりも多くの株式を取得することを意味する。
キャメロン氏とタイラー氏は、今回のIPO前にジェミニ株のほぼ全株を保有しており、上場完了後も、同社の提出書類によると、両氏は議決権の94.5%を保持する見込みだ。この支配権の維持こそが、ジェミニがさらなる希薄化を避けたい理由の一つとみられる。