FBIの家宅捜索から8カ月後に起訴なしでポリマーケットへの捜査に幕引き
DOJ（米司法省）とCFTC（商品先物取引委員会）は、分散型予測市場プラットフォーム「ポリマーケット」に対する捜査を終了した。
FBIがニューヨーク・ソーホーにあるシェイン・コプラン（Shayne Coplan）CEO（最高経営責任者）の自宅を家宅捜索してから8カ月後、最終的に起訴は行われなかった。
ポリマーケットとは
ポリマーケットは、イーサリアム（Ethereum）基盤の分散型予測市場で、選挙や経済指標、スポーツなどのイベント結果に仮想通貨で賭けることができる。
スマートコントラクトによる自動化と透明性を特徴とし、DeFi（分散型金融）の理念に沿った仕組みを採用している一方で、米国規制との整合性には課題があり、2022年には未登録スワップ取引の提供を理由にCFTCと和解し、罰金を科された。
捜査の背景と終了の理由
調査は、和解後もVPNなどを通じて米国ユーザーへのサービス提供を続けていた疑いと賭博法違反の可能性に焦点を当てていた。
ポリマーケットは複数の法域で賭博法違反の疑いで問題を抱えており、今回のDOJによる調査はその一環であった。2024年の選挙で予測市場が注目を集めた直後、FBIは早朝にコプラン氏の自宅を家宅捜索し、パソコンや携帯電話を押収。しかし、DOJとCFTCは決定的な証拠を見つけられず、捜査は正式に終了。今回の判断は、議会が初の主要な仮想通貨規制法案を採決する直前に下された。
ポリマーケットの米国内での立場は依然として不透明だが、今回の結果によってCFTC登録やライセンス取得を通じて米国市場に再参入できる可能性がある。
業界への影響と今後の展望
ポリマーケットはピーター・ティール（Peter Thiel）氏率いるファウンダーズ・ファンドから投資を受け、イーロン・マスク（Elon Musk）氏のXおよびxAIと提携してSNS上で予測サービスを提供するなど、事業を拡大している。
一方で、今回の決定は規制当局や一般市民の間で議論を呼んでおり、今後も監視は続くとみられる。コプラン氏はXで「正義は勝利した」とコメントしたが、プラットフォームのコミュニティ内では賭け結果を巡る不満も指摘されている。
今回の捜査終了は、分散型予測市場に一時的な安心感を与える一方で、今後の法的位置付けや規制順守が業界の鍵となる。ポリマーケットの動向は、予測市場と仮想通貨業界全体の将来を占う重要な試金石となるだろう。
