パリ11区で白昼に業界関係者の家族を狙う事件発生
2025年5月13日(火曜日)朝、フランス・パリ11区のPache(パッシュ)通りで、仮想通貨取引所Paymiumの関係者とされる人物の家族が、誘拐未遂の被害に遭った。
事件は午前8時20分頃、3人のマスク姿の男たちが白いクロノポスト(Chronopost、フランスの国際宅配便会社)の配送車から飛び出し、母子を車内に押し込もうとした場面が撮影され、SNS上で拡散された。
🔴 @Valeurs | Ce mardi matin, deux personnes proches de l’univers de la cryptomonnaie ont fait l’objet d’une tentative d’enlèvement en plein Paris. Trois hommes cagoulés ont tenté de les faire monter de force à bord d’une fourgonnette, en vain. Les enlèvements de ce type, visant… pic.twitter.com/kgXrhIYORZ
— Amaury Bucco (@AmauryBucco) May 13, 2025
実際の映像では、犯人らの動きに迷いや混乱が見られたが、もし計画性が高ければ、事件は未遂では済まなかった可能性がある。仮想通貨に関係する富裕層やその家族が現実に直面しているリスクを、この映像は生々しく物語っている。
このポストを行ったのはフランスの記者アマウリー・ブッコ(Amaury Bucco)氏で、彼は今回の事件を「仮想通貨業界の関係者を狙った未遂誘拐」とし、犯人は車への強制連行を試みたものの失敗に終わったと報告。さらに、同様の事件は続発しており、多くが監禁や身代金要求、指の切断などの暴力を伴うと警鐘を鳴らしている。
被害者の抵抗と通行人の勇気
事件当時、被害女性はパートナーの男性と子どもとともに歩いていた。突然襲いかかってきた男たちは母子を車に押し込もうとしたが、パートナーが止めに入り暴行を受けた。
被害女性も激しく抵抗し、犯人の一人から拳銃を奪って投げ捨てた。この拳銃は後に模造品と判明している。現場では通行人の一人が消火器を投げつけて妨害し、周囲の人々の協力によって犯人は逃走。車両は後に現場付近で発見された。被害者3人は軽傷を負い、病院で治療を受けた。
今回の事件は、仮想通貨業界関係者を標的とした暴力的な犯罪の増加を浮き彫りにしている。今年1月には、仮想通貨企業Ledger(レジャー)の共同創業者であるデビッド・バランド(David Balland)氏が誘拐され、犯人に指を切断されるなどの被害を受けた。検察によると、犯人は仮想通貨での多額の身代金を要求していたという。また、5月には仮想通貨で成功を収めた男性の父親が誘拐され、警察の急襲によって救出される事件も発生している。
事件はフランス警察によって捜査が続けられており、強制的な連行や暴行が伴う重大な未遂事件として扱われている。犯行グループは複数人で構成されていたことから、計画性のある犯行だった可能性も指摘されている。事件の手口や被害者の背景から、仮想通貨をめぐる犯罪がより計画的かつ暴力的になってきている実態が浮き彫りとなった。
今後、仮想通貨業界の関係者やその家族にとって、資産管理だけでなく、日常生活における身の安全確保と情報の取扱いにも一層の注意が求められる状況だ。