仮想通貨の普及と金融教育を目的とした戦略的パートナーシップ
仮想通貨取引所大手バイナンス(Binance)は、キルギスタン共和国の国家投資庁(NAI)と、仮想通貨の導入と金融教育の推進に向けた戦略的パートナーシップを締結した。
I was pleased to meet Changpeng Zhao (CZ), the founder of Binance, the world’s largest cryptocurrency exchange, in Cholpon-Ata. I'm grateful for the opportunity to discuss the development of blockchain technologies and digital assets in Kyrgyzstan. I'm confident that our… pic.twitter.com/Q7iuPN5S01
— Sadyr Zhaparov (@sadyrzhaparovkg) May 3, 2025
チョルポン・アタにて、世界最大の仮想通貨取引所バイナンスの創業者であるチャンポン・ジャオ氏(CZ)とお会いすることができ、大変嬉しく思います。キルギスにおけるブロックチェーン技術とデジタル資産の発展について議論する機会をいただき、大変光栄に思います。私たちの協力は、キルギスだけでなく、地域全体に新たな展望を開くものと確信しています。
中央アジア地域におけるデジタル資産の普及と、同国の規制整備を後押しする重要な動きとして注目されている。2025年5月4日(日曜日)に発表されたこの提携は、サディル・ジャパロフ(Sadyr Japarov)大統領が出席した会議の中で正式に締結された以前の合意に基づくものである。
教育とインフラの両面から支援強化
バイナンスは、ブロックチェーンやデジタル金融に関する知識を広く提供するため、教育リソースとしてBinance Academyや他の支援プログラムを展開しており、キルギスタンの住民に対してWeb3や仮想通貨の理解を深めてもらうためのプログラムも実施する予定だ。
投資庁との連携により、機関投資家および一般市民向けの金融リテラシー・プログラムも開始される予定で、基礎から応用まで幅広い内容を網羅する。これにより、Web3や仮想通貨分野における人材育成と雇用創出を促進するとともに、地域経済の活性化にもつながると期待されている。
注目される取り組みの一つが、Binance Payの導入だ。キルギスタンおよび周辺国、ユーラシア経済連合(EAEU)加盟国間における国際送金や貿易の効率化が進められ、法定通貨と仮想通貨を結ぶデジタル決済インフラの整備が加速している。
バイナンスはキルギスタンの規制当局と連携し、透明で安全な仮想通貨市場の形成に取り組んでいる。また、キルギスタンでは国家主導でデジタル通貨の開発が進んでおり、年末までにCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)「デジタル・ソム」のプロトタイプが導入される予定だ。
政府との連携深化と地域戦略の拡大
今回の提携は、バイナンスが政府レベルで仮想通貨政策に関与する動きを象徴しており、同社の創業者であるジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏は、パキスタンの仮想通貨評議会の戦略顧問にも就任しており、Web3政策全体への関与を強めている。
リチャード・テン(Richard Teng)CEO(最高経営責任者)は、複数の国がビットコイン準備金の保有を検討しているとし、バイナンスがその支援をしていることを明かしている。こうしたグローバルな動きの中で、キルギスタン政府との連携は、地域におけるバイナンスのプレゼンスをさらに高める重要な一歩といえる。
今連携は、仮想通貨を国家経済に組み込もうとするキルギスタンの姿勢を世界に示すものであり、新興国がWeb3時代において“飛び級”する一つのモデルケースとなる可能性もある。同時に、バイナンスにとっても、政府との信頼関係を軸にした地域展開の青写真を明確に描いた形であり、他国との連携拡大に向けた布石とも読み取れる。