スイス銀行AMINA、世界初のSUI取引・保管サービスを提供

スイス規制下でSUIに対応、機関投資家向けサービスを本格化

スイスのAMINA Bank AGは、仮想通貨スイ(Sui/SUI)の取引および保管サービスを開始した。

スイス金融市場監督局(FINMA)の認可を受けた同銀行は、SUIを取り扱う世界初の規制下の金融機関となり、仮想通貨と伝統的な金融の架け橋として注目を集めている。

規制銀行による仮想通貨サポートの意義

AMINAは、SUIへの安全かつ規制準拠のアクセスを提供することで、機関投資家や富裕層に向けた信頼性の高い投資環境を実現している。

入出金の自由管理、取引量の上限撤廃、コンプライアンス対応の監査機能を備えており、柔軟かつ戦略的な資産運用を可能にしている。同社はまた、今後数カ月以内にSUIのステーキングサービスも開始予定としており、預入資産への利回り提供にも踏み出す構えだ。


背景にあるSuiの成長と注目

Suiは、2025年に急速に普及が進むレイヤー1ブロックチェーンのひとつであり、そのスピードとスケーラビリティにより現実世界での企業アプリケーションにも対応可能な設計となっている。

Metaのディエム(Diem)ブロックチェーンの開発チームにより構築されたSuiは、セキュアなスマートコントラクト実行環境を提供しており、ネットワークの総ロック資産(TVL)は22億ドル(約3,250億円)を突破。2025年7月にはDEX取引量が142億7,000万ドル(約2.1兆円)に達し、過去最高を記録した。ステーブルコインの送金量でもソラナ(Solana/SOL)を上回る実績を示しており、機関投資家の注目度も急上昇している。

機関資金とエコシステム拡大の動き

ナスダック上場企業であるミル・シティ・ベンチャーズは、SUIに4億4,100万ドル(約651.3億円)を投資。

これは同社の調達額の98%に相当し、トークンを中核に据えた財務戦略としては初の事例となった。すでに平均取得価格3.6389ドルで約7627万トークンを保有しており、今後も公開市場での取得を進める意向を示している。このような動きは、SUIが機関投資家の主要資産として定着しつつある証といえる。カナリ-・キャピタル(Canary Capital)や21シェアーズ(21Shares)、ビットワイズ(Bitwise)などによるETF(上場投資信託)申請も進行しており、SUIの証券化に向けた市場の関心が高まっている。

技術・開発面での広がり

AMINAの最高製品責任者マイルズ・ハリソン(Myles Harrison)氏は、Suiが従来のWeb2インフラを代替する効率性と柔軟性を備えているとし、すでに一部企業での導入も進んでいると述べている。

Sui FoundationはAIエージェントや分散型自動化をサポートするインフラ整備に注力しており、ブロックチェーンの枠を超えたプラットフォームへの成長を目指している。2025年夏には、エレクトリック・キャピタルの調査で約3,000人の開発者がキャンペーンに参加し、前年から50%の増加となった。パリ、アテネ、イスタンブール、バンコク、ベトナムなどで開催された開発者イベントは、ネットワークの国際的な展開と技術コミュニティの活性化にも寄与している。

AMINAのSUI対応は、規制と革新の両立を象徴する一手となった。今後、SUIの本格的な普及と金融機関のさらなる参入が進めば、仮想通貨と既存金融の融合が一層加速することになりそうだ。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム