クーコインが韓国市場ねの再参入を目指す
コンプライアンス違反により韓国市場への参入をブロックされた大手仮想通貨取引所KuCoin(クーコイン)は、再参入を目指し、20億ドル(約2,879億円)規模の「Trust Project(トラスト・プロジェクト)」を立ち上げた。
2025年4月30日(水曜日)にドバイで開催されたTOKEN2049イベントで発表され、KuCoinは世界の主要法域における規制遵守に重点を移し、同時にプラットフォームの透明性とセキュリティの向上を目指す20億ドル規模のTrust Project(トラスト・プロジェクト)」を立ち上げた。同取引所のBCウォン(BC Wong)新CEO(最高経営責任者)は、一部の規制当局が規制を利用してグローバルプレイヤーを追い出し、国内取引プラットフォームの進出を後押ししようとしている可能性があると述べている。
2025年3月21日、韓国FSC(韓国金融委員会)は、Google PlayとAppleのApp Storeに対し、適切な登録をせずに運営されている仮想通貨取引所をブロックするよう指示。Appleは4月11日、KuCoinによる指示に従い、App Store経由で韓国のユーザーがKuCoinプラットフォームを利用できないようにした。また、Google Playも同様の措置を取ったと報じられている。
規制上の問題にもかかわらず、KuCoinは市場から完全に撤退したわけではなく、同CEOはインタビューの中で、韓国への再参入予定を明らかにし、次のように述べている。
リソースは確保されている。一つずつ進めていく必要がある。当社の戦略は常に、主要法域を最優先することだ。つまり、米国、EU(欧州連合)、中国、インド、そしておそらくその後にオーストラリアだ。
グローバルコンプライアンスのハードル
同CEOは、KuCoinが規制当局との協議を開始した事を明かしており、現在の規制環境は3年前よりも厳しくなっており、現地の規制当局が国内取引所を優遇するためにグローバルプラットフォームを排除する可能性があることを示唆していると指摘した。
一方、KuCoinはヨーロッパでも課題に直面しており、KuCoin EUのオリバー・スタウバー(Oliver Stauber)CEOは、MiCA(仮想通貨市場規制)法の導入にもかかわらず、欧州における規制上のハードルが依然として高いと指摘。MiCAはライセンスのポータビリティを提供するものの、各国間の運用における一貫性のなさが業務を複雑化させており、同CEOは次のように指摘している。
MiCAは、欧州全域で仮想通貨取引において公平な競争環境を提供すると言われていました。しかし、規則に従わないプレイヤーがいる限り、状況は複雑化しています。規制当局の意図が世界市場を規制することなのか、それとも単にグローバルなプレイヤーを市場から追い出し、国内取引所の道を切り開きたいだけなのか、私にはよく分かりません
信頼とコンプライアンスに関する懸念に正面から取り組むために同取引所は、TOKEN2049のステージで20億ドル規模のTrust Project立ち上げを発表。この取り組みは、取引所を中心とした、より安全で透明性の高いWeb3エコシステムの構築を目的としている。同プロジェクトは、透明性、ユーザー保護、リスク管理の強化、規制遵守、長期的な持続可能性という4つの柱に重点を置いている。