OKXが司法省との和解で再出発で米国でのサービスを再開
仮想通貨取引所OKXが、DOJ(米国司法省)との5億500万ドル(約719億円)の和解を経て、米国市場に正式に再参入した。同社は「OKX.US」というブランドの立ち上げとともに、中央集権型取引所とWeb3ウォレットの提供を開始した。
再参入にあたって、OKXはカリフォルニア州サンノゼに新拠点を設置し、規制遵守を徹底。米国居住者向けにビットコイン(Bitcoi/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)、テザー(Tether/USDT)、USDコイン(USDCoin/USDC)など、主要な仮想通貨の現物取引を提供する。また、旧OKCoinユーザーは段階的に新サービスへ移行し、より低い手数料や高い流動性の恩恵を受けられるとしている。
経営体制を刷新し、米国市場に再挑戦
和解の背景には、OKXが2018年から2024年初頭にかけて登録なしで米国ユーザーにサービスを提供していた経緯がある。
和解の一環として、同社は罰金や返金措置を含む総額5億500万ドルの支払いに同意しており、米国ユーザーから得た手数料約4億2,100万ドル(約600億円)を放棄したことも明らかになっている。同社は過去のコンプライアンス上の問題に対処し、米国の法律に則った形での再出発を強調している。和解後は規制基準の改善に全面的に取り組んでおり、その一環として元ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)氏を顧問に迎えている。
また、この再参入に合わせて、米国部門のCEO(最高経営責任者)にロシャン・ロバート(Roshan Robert)氏が就任。ロバート氏は、バークレイズ(Barclays)をはじめとする大手金融機関やテクノロジー企業で幹部を歴任した実績を持つ。OKXはこの人事を通じて、米国市場に特化した戦略と経営体制を整備し、グローバル戦略とは切り離した形でより現地ニーズに応える姿勢を打ち出している。
🇺🇸 Bringing a New Alternative to America 🇺🇸
We’re officially launching in the US with our centralized exchange & powerful multi-chain Web3 Wallet.
Roshan Robert will lead our expansion as US CEO, and our headquarters will be in San Jose, California.
More:… pic.twitter.com/VaACoqIydn
— OKX (@okx) April 16, 2025
ロバート氏は「OKXの米国市場再参入をリードできることを光栄に思う。安全で透明性のある方法で、ユーザーに新しい金融の可能性を提供したい」とコメント。OKXの広報担当者も「米国市場は戦略的に極めて重要な位置づけにある」とし、単なる規模拡大ではなく、中長期的な成長基盤の構築を目指す姿勢を示している。
Web3分野への本格展開も強化
今回の再参入では、中央集権型取引所に加えて米国ユーザー向けの新しいWeb3ウォレットの提供もスタートした。
このウォレットは130以上のブロックチェーンに対応し、今後は主要な仮想通貨のさらなるサポートや地元銀行との統合も計画されており、DEX(分散型取引所)アグリゲーターやNFT取引、DeFi(分散型金融)アプリへの接続といった多機能を搭載している。
OKXはWeb3領域をデジタル金融の次の時代を形作る重要な技術と捉えており、ユーザーとの接点を拡大しながら、米国市場での存在感を強めていく考えだ。過去に複数の国・地域で規制対応に苦慮してきた同社だが、今回の和解と米国市場への復帰は、新たな信頼構築への第一歩となる。規制が厳格化する今、コンプライアンスと成長の両立に挑むOKXの動向に注目が集まる。