パナマ市、仮想通貨決済を公共サービスに導入へ

パナマ市役所の外観と仮想通貨の象徴を組み合わせたイメージ

パナマ市議会が仮想通貨決済を承認、支払いは米ドル換算で

パナマ市議会は2025年4月、公共サービスにおいて仮想通貨による支払いを認める条例を承認した。これにより、市民は税金や各種行政手続きの費用をBTCやETHなどの仮想通貨で支払えるようになる。

日本語訳:
パナマ市議会は、仮想通貨での支払いを受け入れる初の政府公的機関となることを承認しました。
国民は、BTC、ETH、USDC、USDTから始めて、税金、手数料、チケット、許可証をすべて仮想通貨で支払うことができるようになります。

ただし、支払いに使用される通貨は仮想通貨でも、市が実際に受け取るのはあくまで米ドルだ。これは、パナマはバルボア(※Balboa、通貨コード:B)と米ドルの両方を法定通貨としているが、実際の経済活動では米ドルが広く使用されており、価格変動リスクへの対応としても妥当な措置とされている。

仮想通貨で支払われた資産は、提携する銀行を通じて米ドルに即時換算され、市に入金される。この仕組みにより、市は法定通貨での会計処理を維持しつつ、市民に柔軟な支払い手段を提供できる。

法整備なき中での地方主導、制度的な制限も

今回の条例は、マイヤー・ミズラチ(Mayer Mizrachi)市長の主導により提出された。

中央政府による包括的な仮想通貨法整備が進まない中、パナマ市は独自に動き出し、地方自治体として初めて仮想通貨を公共支払いに取り入れる試みに踏み切った。

パナマでは2021年に仮想通貨の使用を認める法案が提出され、2022年に議会を通過したが、ラウレンティーノ・コルティソ(Laurentino Cortizo Cohen)大統領が拒否権を行使して差し戻された。その後、拒否された条項の再審議が行われたものの、2023年には最高裁が同法案を「執行不能」と判断し、以降は具体的な前進が見られていない。そのため、市が独自に条例を可決したことには大きな意味があるが、制度面での制限も残る。同市長は、市は仮想通貨を直接保有せず、すべての仮想通貨支払いは提携銀行を通じて処理される必要があると説明している。

この新しい仕組みにより、市民は税金や手数料、許可証などの支払いを仮想通貨で行えるようになる。一方で、市は米ドルでの受け取りを維持し、各機関がデジタル資産を直接管理しなくても済む。この構造により、パナマにおける仮想通貨経済の発展が期待されている。ミズラチ市長はXでもこの動きを報告し、パナマ市が仮想通貨決済を受け入れる最初の公的機関になったと述べている。投稿では、対象通貨としてBTC、ETH、USDC、USDTが明記され、市民による利用が始まる見通しが示された。

今後の導入にあたっては、提携する銀行との連携が進められ、即時換算の仕組みやセキュリティ面での整備が図られる。市が仮想通貨を直接保有しない構造により、導入のハードルは比較的低いとされる。

エルサルバドルと異なるアプローチ、制度整備がカギに

まずは一部の行政手続きや軽微な手数料から運用が始まり、将来的には地方税や公共サービス全般への拡大が検討されている。

今回の取り組みは、中南米地域の他都市における仮想通貨政策の参考モデルとして注目されている。ただし、エルサルバドルでは2001年から米ドルを法定通貨として採用し、2021年にはビットコイン(Bitcoin/BTC)を追加した。一方、今回のパナマ市の取り組みは、あくまで「任意の支払い手段」としての導入だ。既存の金融制度との互換性を重視したアプローチであり、制度的な衝突を避ける構造となっている。

今後、仮想通貨決済の持続的な展開を目指すためには、より明確な法的枠組みや、パナマの地元経済に適合した制度整備が必要になるだろう。

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム