マントラ急落で共謀疑惑浮上 CEXとマーケットメーカーの構造的問題に注目

マントラのロゴと価格チャートが描かれたイラスト。PC画面に急落したグラフが表示され、仮想通貨コインが周囲に配置されている。

OMトークンが急落、仮想通貨業界に広がる波紋と価格操作の疑念

DeFi(分散型金融)プラットフォーム「マントラ(MANTRA)」のネイティブトークン「OM」が、4月13日に最大90%の暴落を記録した。

CoinMarketCapより画像引用

CEX(中央集権型取引所)で発生したとされる急落により、多くの投資家が損失を被ったことから、プロジェクト運営への不信感とともに、CEXとマーケットメーカーの共謀疑惑が業界全体に波紋を広げている。

今回の急落については、投資家の間でマーケットメーカーとCEXが連携し、価格を意図的に吊り上げたうえで売り抜けた可能性があるという疑念が広がっている。暴落の背景には、事前に価格を高騰させ、流動性が十分にないタイミングで売却が行われたという指摘もあり、こうした構図が価格操作だったのではないかとの声が高まっている。OMは0.013ドルから9ドルまで上昇し、完全希薄化後の時価総額は2,000万ドル(約28.4億円)から110億ドル(約1.5兆円)に達したが、その後0.4978ドル前後まで下落した。TRB(Tellor)と同様の「ポンプ&ダンプ」構造だったと見る声もあり、計画的な価格操作への疑念が強まっている。

仮想通貨インフルエンサーのレオニダス氏は、CEX、特にバイナンス(Binance)とマーケットメーカーが協力して価格をつり上げ、個人投資家を誘い込んだうえで売り抜けたと主張。「これが唯一の真実だ」と強く非難した。

DeFiance Capitalのアーサー氏も、プロジェクトとマーケットメーカーが協力して人工的な価格を長期にわたり維持するケースが多いと述べ、仮想通貨市場の透明性の欠如が深刻な問題になっていると警鐘を鳴らしている。

これらの証言からは、CEXとマーケットメーカーが構造的に結託し、価格を操作していた可能性が強く示唆される。今回の件は偶発的な事故ではなく、意図的に仕組まれたものだったのではないかという見方が広がっている。

マントラ運営が打ち出す回復策と市場の反応

マントラのジョン・パトリック・マリン(John Patrick Mullin)CEO(最高経営責任者)は、暴落の要因について「流動性が薄い日曜日の時間帯に、特定のCEXで強制清算が行われたことが影響した」と説明し、これを受け、同社は市場の信頼回復に向けた対応策を発表している。

同CEOは、OMトークンの買い戻し手続きや供給削減プログラムを通じて、ユーザーの信頼再構築と持続可能なエコシステムの形成を目指す方針を示した。また、詳細な調査報告書の公開を予定しているほか、継続的な情報共有と公式アップデートによって透明性を確保し、コミュニティとの信頼関係を強化していく意向も明らかにしている。

一方で、今回の暴落は、マントラが掲げるRWA(Real World Asset:現実資産)トークン化という中長期的ビジョンにも影を落としており、仮想通貨業界全体にとって、CEXの運営体制や流動性提供のあり方に対する課題を改めて浮き彫りにする出来事となった。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム