スウェーデン議員が政府にビットコイン準備戦略の見直しを要請
スウェーデンの国会議員が、国家レベルでのビットコイン(Bitcoin/BTC)準備金導入に向けた戦略的な見直しを政府に提案し、仮想通貨の地政学的重要性が高まる中、同国がこの動きに加わる可能性が注目されている。
スウェーデン民主党を代表するデニス・ディウカレフ(Dennis Dioukarev)議員は、エリザベス・スヴァンテソン財務大臣に対し、正式な質問書を提出。押収された資産を活用して国家戦略的にビットコインを備蓄する構想を示した。同議員は、ビットコインが世界的に重要性を増している点を強調。米国が戦略的に押収資産をBTCに転換している例を挙げ、スウェーデン政府も同様のアプローチを検討すべきだと訴えており、次のように主張している。
公的資金を使わずに法定通貨や金に加えてビットコインで外貨準備を強化できる。
また、今回の動きは中央党のリカルド・ノルディン(Rickard Nordin)議員による同様の提案を受けたものでもある。ノルディン議員は2025年4月8日(火曜日)、ビットコインの世界的な地位を踏まえ、スウェーデンの保守的な準備金戦略の見直しを求めていた。こうした背景もあり、ビットコインの国家戦略への組み込みを巡って、議会では超党派の議論が進んでいる。
各国で広がる国家レベルでのビットコイン導入構想
今回のスウェーデンでの提案は、ビットコインを国家戦略に組み込もうとする国際的な潮流と一致している。
エルサルバドルは2021年、ビットコインを法定通貨として採用し、国家の準備資産としての活用を開始。さらに、2025年3月には米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が、ビットコインを正式に国家準備金の一部に指定する大統領令に署名。これにより、ビットコインは仮想通貨シンクタンクの領域から、正式な政府政策としての地位を獲得した。
この動きに呼応するように、ヨーロッパ各国でも関心が高まっている。チェコ中央銀行(Czech National Bank)のアレシュ・ミヒル(Aleš Michl)総裁は、ビットコインを準備資産の多様化手段として評価。フランスのサラ・クナフォ(Sarah Knafo)議員は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の導入ではなく、ビットコインによる準備金の積み立てを各国に促している。
一方で、すべての国がこの潮流を歓迎しているわけではない。オーストラリア当局は、仮想通貨の蓄積よりも規制の強化を優先する姿勢を示しており、各国でアプローチに差がみられる。スウェーデン政府が今後この提案をどのように評価し、政策に反映していくのか、仮想通貨業界の注目が集まっている。