BiT Global、ラップドビットコイン上場廃止をめぐりコインベースを提訴

ビットコインの金色のコインが輝く背景に、赤と緑の仮想通貨取引チャートが表示された画像

仮想通貨取引所BiT Globalが、主要取引所であるコインベース(Coinbase)を1億ドル(約)の損害賠償請求で提訴したことが報じられた。この訴訟は、ラップドビットコイン(Wrapped Bitcoin/WBTC)の上場廃止に関連し、市場操作が行われた可能性があるとしてBiT Globalが主張しているものである。

WBTC上場廃止の背景

WBTCはビットコイン(Bitcoin/BTC)をイーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上でトークン化した暗号資産であり、DeFi(分散型金融)分野で重要な役割を果たしている。

しかし、コインベースは2024年初頭、WBTCの上場廃止を決定した。この決定に対し、BiT Globalはコインベースが市場操作をした疑いがあるとし、法的措置に踏み切った。BiT Globalは訴状の中で、WBTCの上場廃止により市場全体に混乱が生じ、自社およびユーザーが多額の損失を被ったと主張している。

訴訟内容とBiT Globalの主張

BiT Globalによると、コインベースはWBTCの上場廃止を不当に行い、これによって市場価格が大きく変動したと述べている。

また、同社は、コインベースが特定の市場参加者に有利な条件を与え、同時に自社には不利益を与える形で操作したと指摘。BiT Globalは1億ドルの損害賠償を求めており、コインベースの行動が市場の公平性と透明性に反すると批判している。

コインベース側の反論

一方、コインベースのチーフリーガルオフィサーであるポール・グレワル(Paul Grewal)氏は、この訴訟に対して即座に反論し、BiT Globalの主張には根拠がないと強調した。

同氏は声明の中で、WBTCの上場廃止は正当な判断に基づいたものであり、市場操作の事実は存在しないと断言。また、コインベースはこれまで透明性を重視し、公平な取引環境を提供してきたことを強調した。

WBTCに関する懸念と仮想通貨コミュニティの反応

WBTCのカストディアンであるBitGoとBiT Globalとの提携をめぐる過去の懸念が、今回の状況をさらに複雑化。

仮想通貨業界で物議を醸している人物であるジャスティン・サン(Justin Sun)氏の関与も指摘されており、一部のコミュニティでは懐疑的な見方が広がっている。また、ライバルであるスレッショルドネットワークは、サン氏関連のプロジェクトで担保の不正流用があった可能性を挙げ、透明性の欠如を問題視している。

WBTCは、ビットコインとイーサリアムネットワークを結ぶ重要な橋渡し役として機能しているものの、BitGoの中央集権的な管理体制やプロジェクトの信頼性に対する懸念が存在する。このため、今回の訴訟は単なる取引所間の争いを超え、ラップドトークン全般の透明性や信頼性にも影響を与える可能性がある。

訴訟の行方と仮想通貨市場への影響

BiT Globalとコインベースの法廷闘争は、今後の仮想通貨取引市場における規制強化や市場の透明性に大きな影響を与える可能性があり、この訴訟は、中央集権的な仕組みと分散型の理想の間にある矛盾を浮き彫りにするものでもある。

今回の訴訟が仮想通貨市場に与える影響について、業界全体が注目している。特に、ラップドトークンの今後の運用や透明性向上に向けた取り組みがどのように進化するかが、重要な分岐点となるだろう。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム