パキスタン中央銀行が仮想通貨全面禁止を主張
SBP(State Bank of Pakistan=パキスタン国立銀行)は、仮想号通貨は法的地位を持っておらず、パキスタン(正式国名:パキスタン・イスラム共和国)入国内で完全に禁止されるべきである、と主張している事がわかった。
パキスタン中央銀行にあたるSBPとパキスタン連邦政府は、すべての仮想通貨の取り組みを完全に禁止することを検討している。SBPは、デジタル資産は違法であり、貿易活動を促進できず、テロ行為やマネーロンダリング(資金洗浄)の資金調達に使用される可能性があると主張。また、SBPが明確な方針を公にしたのは今回が初めてであり、国内外から高い関心が寄せられている。
パキスタンは仮想通貨を禁止するのか
2021年10月、シンド高等裁判所は、パキスタン政府に対し、3カ月以内に仮想通貨市場を規制するよう要請したほか、議員に対して委員会を設立し、デジタル資産の法的地位を決定するよう指示した。
90日後にあたる2022年1月、SBPはすべての仮想通貨の完全禁止を提案する決定を下す準備ができている。SBPが厳しい規則を要求する理由は複数あり、第一に仮想通貨は違法であり、取引業務に使用できないことを指摘。第二に、BinanceやOctaFXなどの取引所は投資家にリスクをもたらすと指摘している。Binanceは、ここ数カ月で多くの規制当局からの規制の反発に直面しており、ジャオ・チャンポン(Changpeng Zhao:趙長鵬)CEOは、本社を中央集権化した認可された金融機関に企業方針を転換させることで、同社の構造を変えることを誓っている。
SBPは、ビットコインをはじめとする仮想通貨が、テロ行為やマネーロンダリングなどの違法な操作を容易にすると主張。その一方で、ビットコイン(Bitcoin/BTC)の基盤となるブロックチェーン技術については完全に透過的であり、すべての取引はデジタル元帳に記録され、インターネットにアクセスできる人なら誰でも見ることができると言及。仮想通貨は麻薬密売やテロ資金供与、売春などの違法行為と結びつきやすいことから、依然として現金が最も好ましい支払い方法だと述べている。
SBPは、他の複数の国が行ったように、デジタル資産取引所にペナルティを課すことで、仮想通貨取引所の“不正操作”を停止する準備も既に整っている。パキスタンの人気テレビ司会者であり仮想通貨起業家であるワカール・ザカ(Waqar Zaka)氏は、仮想通貨完全禁止法案に反対しており、パキスタン国民の多くが仮想通貨取引をしており、ルールは現状のままが望ましいと述べている。なお、シンド高等裁判所は2022年4月12日に同提案を審理するという。
かつての制限期間に何が起こったのか
2018年4月、SBPはすべての銀行、金融機関、および支払い処理業者対し、仮想通貨使用を控え、関連サービスを停止するよう推奨した。
この提案で国民はさまざまな困難に直面したものの、それが直接取引したり使用したりすることを完全に止めることはできなかった。2020年、ムハンマド・イクバル・カルホロ(Muhammad Iqbal Kalhoro)裁判官は、パキスタンが仮想通貨市場に加わらない場合、パキスタンが現代技術に遅れをとるリスクがあると主張する動きに疑問を呈している。
現在、デジタル資産はパキスタン国民の間で非常に人気があり、2021年に彼らの関心を711%以上増加させ、国全体の仮想通貨所有額は、合計200億ドル(約2兆3,000億円)相当に上っている。
しかし、今回の浮上している仮想通貨禁止について疑問を投げかける声も上がっている。パキスタンの投資会社Zayn Capitalの共同設立者であるファイサル・アフタブ(Faisal Aftab)氏は、国が禁止することを決定したことを意味するとは思わないと述べており、インドの中央銀行対政府による見解の相違に酷似している。