ウクライナ、仮想通貨収益に18%の所得税を提案

ウクライナの国旗とビットコイン、税務書類が並ぶ仮想通貨課税を象徴する構図

ウクライナが仮想通貨の収益に課税提案

ウクライナ政府は、仮想通貨取引による収益に対し18%の所得税を課す法案を提案した。

また、これに加え、軍事目的税として5%の追加課税も盛り込まれており、合計で最大23%の課税となる見込みだ。特定の納税者には5%または9%の軽減税率を適用する案も検討されている。この新たな課税枠組みは、ウクライナ国家証券・株式市場委員会のルスラン・マゴメドフ(Ruslan Magomedov)委員長によって発表された。法案は個人・法人の双方に適用され、仮想通貨による収益はすべて自己申告制で税務当局に報告する必要がある。

政府はこれを新たな財源確保の手段と位置づけ、財務省も「現実的なアプローチ」と評価している。法案は可決後に施行される予定で、具体的な開始時期は今後の議会審議で決定される見込みだ。

課税対象の範囲と例外

提案された税制では、仮想通貨のHFT(高頻度取引)は課税対象から除外されている。これは、HFTが技術的な取引に特化しており、伝統的な投資収益とは異なると政府が判断したためだ。

一方で、マイニングやステーキング、エアドロップを含む各種報酬、法定通貨との交換による利益などは課税対象となる。仮想通貨を単に保有している状態では課税されないが、法定通貨や商品・サービスとの交換時点で課税が発生する仕組みだ。仮想通貨間の交換は非課税とされており、資産の柔軟な運用は引き続き可能と見られる。また、仮想通貨を使った商品の購入やサービス利用には、VAT(付加価値税)が適用される可能性もある。

投資家とビジネスへの影響、国際的な位置づけ

この税制は国内の仮想通貨投資家や取引所に実務上の負担を与える可能性がある。取引所はユーザーの税務処理に対応する体制を整える必要があり、制度変更に伴う運用コストの増加も懸念される。

ウクライナはすでに仮想通貨の合法化を進めており、今回の提案はその延長線上にある。課税による財政強化は、戦時下での国家復興や軍事支出の補填にも資するものと期待されている。

国際的にも、仮想通貨課税は主要な政策テーマのひとつとなっている。オーストリアやフランスでは、仮想通貨同士の交換に限定して非課税とされており、シンガポールでは個人の仮想通貨売却による利益に対してキャピタルゲイン税が課されていない。ウクライナの動きは、こうした国々の枠組みと比較されながら評価が進む見通しだ。

ウクライナ政府は、2025年10月にEU(欧州連合)のMiCA(仮想通貨市場)規制をモデルとしたデジタル資産に関する完全な法案を提出する予定であり、今後の動向が注目される。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム