DOJがハマスのテロ資金関連仮想通貨を押収
DOJ(米国司法省)は2025年3月27日(木曜日)、「ハマステロ資金提供計画」を阻止する取り組みの一環として、20万1,400ドル(約3,000万円)に相当する仮想通貨を押収した。
DOJによると、テザー(Tether/USDT)で保管されていた資金は、ハマスまたはその関連組織が管理する仮想通貨ウォレットにまでさかのぼることができる。これらのウォレットは、2024年10月以降、同グループを支援する組織的な資金調達活動の一環として、2024年10月以降150万ドル(約2.26億円)以上の仮想通貨を受け取ったと報じられている。
3月27日の声明でDOJは、過激派組織ハマスに利益をもたらす目的で、少なくとも17のウォレットに保管されていた20万ドル以上の仮想通貨を押収した事を発表。ハマスとのつながりを主張する個人は、寄付を募るために暗号化されたメッセージングプラットフォームを使用。支持者は、12を超える仮想通貨アドレスに資金を送るよう指示されており、そこから、資産は中央運用ウォレットに集められ、取引所や店頭ブローカーのネットワークを通じて移動された。当局はこれを資金の流れを隠蔽(いんぺい)する試みと表現した。
テロ資金調達で仮想通貨を使用する広範な取り締まり
今回の押収は、テロ資金調達における仮想通貨の使用に対する米国のより広範な取り締まりの一環だ。
2023年の米国財務省は、10月7日のイスラエル攻撃に至るまでのハマスの活動に関連するとみられる1億6,500万ドル(約248.8億円)の仮想通貨取引の調査を開始した。なお、この攻撃で米国民40人を含む1,200人が死亡している。
一方、連邦裁判所は、2023年のハマスによるイスラエル攻撃の犠牲者の家族が起こした訴訟の却下を求めるバイナンス(Binance)の要請について、まだ判決を下していない。この訴訟は2024年、米国ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提起され、バイナンスと元CEOであるジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏がハマスを支援したとされる金融サービスを提供したと非難している。2025年1月30日の審理で、バイナンスの法務チームは、仮想通貨は「本質的に危険ではない」と主張し、取引所がハマスと「特別な関係」にあったという主張を退けた。訴訟ではまた、イラン政府とシリア政府を被告として挙げ、テロ活動に資金を提供したとしている。
2024年6月に訴訟棄却の申し立てをしたバイナンスとCZは、訴訟には法的根拠がないと主張しており、バイナンス側の弁護士は次のように述べている。
原告が主張できる最善のことは、ハマスや他のテロリストが活動資金として仮想通貨に依存しているということで、この主張は明らかに不十分だ。
パレスチナ人個人に登録された口座に保管の資産が標的
今回の押収は、トルコやその他の場所でパレスチナ人個人に登録された口座に保管されている資産を標的としており、エドワード・R・マーティン・ジュニア(Edward R. Martin, Jr.)米連邦検事は述べている。
ハマスは多くの米国人とイスラエル人の死に責任があり、われわれは彼らのテロと殺人キャンペーンを阻止するためにあらゆる法的手段を講じる。
FBI(米国連邦捜査局)のラウル・ブジャンダ(Raul Bujanda)特別捜査官は、今回の押収はハマスの金融ネットワークを混乱させる重要なステップであるとし、資金を断つことで同グループの作戦能力が弱まると強調。この作戦はFBIのアルバカーキ支局がテロ対策部門とサイバー部門と連携して主導し、DOJ国家安全保障部門の検察官がこの事件を担当している。