SEC(米国証券取引委員会)は、Yuga Labsが展開するBAYC(Bored Ape Yacht Club)NFTおよびApeCoinに対する調査を正式に終了した。Yuga Labsは公式Xで、「3年以上にわたる調査の末、SECは正式にYuga Labsへの調査を終了しました。これはNFTエコシステムを推進するすべてのクリエイターにとって大きな勝利です」と発表し、「NFTは証券ではない」と強調した。
After 3+ years, the SEC has officially closed its investigation into Yuga Labs.
This is a huge win for NFTs and all creators pushing our ecosystem forward. NFTs are not securities.
— Yuga Labs (@yugalabs) March 3, 2025
SECのNFT規制とYuga Labs調査の経緯
2022年10月、SECはYuga Labsが提供するNFTおよびApeCoinの配布が証券法に抵触する可能性を懸念し、調査に乗り出した。特に、BAYC NFTやApeCoinが1946年の最高裁判例のハウィーテストに基づき証券に該当するかが焦点となった。
SECの調査は、当時の委員長ゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)の主導により、NFT市場や関連プラットフォームへの広範な規制強化の一環として行われた。ブルームバーグの報道によれば、特定のNFTが株式に類似しているかどうかが焦点とされていた。
SECは最近、Robinhood、Gemini、UniSwap Labs、Consensys傘下のMetaMask、OpenSeaなど複数の仮想通貨関連企業への調査を取り下げ、CoinbaseやKrakenとは和解に至っている。この流れの一環として、Yuga Labsへの調査も進められていた。
Yuga Labsの成長と市場に与えた影響
Yuga Labsは2021年に設立され、NFT市場で急成長を遂げた。2022年には4億5,000万ドル(約674.3億円)の資金調達をし、評価額は40億ドルに達した。同社はBAYCやMutant Ape Yacht Clubを展開し、CryptoPunksの権利も取得するなど、市場での影響力を拡大した。
BAYCコレクションの最低価格は、SECの調査終了の発表後に一時的に上昇したが、その後は下落基調が続いている。現在の最低価格は約29,650ドルで、ピーク時(2022年5月)と比べて大幅に下がっている。
また、ApeCoin(APE)も市場の即時反応はなく、過去24時間で16%の下落を記録。Mutant Ape NFTやCryptoPunksもピーク時から70~95%下落しており、NFT市場全体の低迷が続いている。
SECの決定がNFT市場の未来に与える影響
Yuga LabsはBAYCなどの人気NFTコレクションを手がける企業として知られ、この調査終了はNFT市場全体にとって重要な転機となる可能性がある。
NFTが証券に該当するかどうかという法的位置づけについて、業界は長らく不透明な状態にあったが、今回の決定はNFT業界に前向きな指針を示すものと受け止められている。また、NFTの性質に類似するミームコインについても、先週SECの企業財務部門が声明を発表し、その提供と販売は連邦証券法の対象とならない可能性があると正式に表明している。
SECのこの決定は、今後のNFT規制や市場の動向に影響を与える可能性があるため、業界全体がその行方を注視している。