ジェミニがヨーロッパで幅広いサービスのライセンスを取得
大手仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)は、MFSA(Malta Financial Services Authority:マルタ金融サービス機構)から投資会社ライセンスの原則的承認を取得した。
米国に本拠を置くジェミニは、MFSAから投資会社ライセンスの原則的承認を取得。このライセンスは事前承認要件の対象となり、ライセンスが付与されると、同取引所はMiFID II(金融商品市場指令2018)に基づき、EU(欧州連合)およびEEA(欧州経済領域)で規制対象の永久先物契約およびオプションを提供できるようになる。なお、EEAは、EU加盟国に加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーで構成されている。
デジタル資産先物とオプションは金融商品として適格であるため、MiCA(仮想通貨市場)規制ではなく、MiFID II規制枠組みの下で規制されており、ジェミニのヨーロッパ責任者マーク・ジェニングス(Mark Jennings)氏は同社のブログでの発表で、ジェミニの原則的投資会社ライセンスを「重要なマイルストーン」と表現したうえで、次のように述べている。
投資ライセンスの原則承認を受けることは、個人投資家と機関投資家にクラス最高のサービスを提供するという当社の取り組みにおける重要な節目です。暗号資産が認知された資産クラスに成熟するにつれて、特に機関投資家からの仮想通貨デリバティブへの関心は近年大幅に高まっています。
ジェミニのライセンス取得は継続的な探求
2024年12月、仮想金融資産サービスライセンスを取得した後、MiCAの目的でマルタをヨーロッパの拠点として選択したジェミニは、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン、フランスVASP(仮想資産サービスプロバイダー)ライセンスも取得している。
米国に拠点を置く別の仮想通貨取引所であるクラーケンは、ライセンスを保有していたキプロスの企業を買収することで、2月初めにMiFID IIライセンスを取得した。企業は、MiCAライセンスを直接取得するか、既存のVASPをMiCAにアップグレードするかを選択できる。
ジェミニが米国でビットコイン先物契約を導入しようとした試みは、深刻な障害に遭遇し、2017年と2018年に価格操作の疑いでDOJ(米国司法省)の調査を受けた。刑事捜査の後、起訴は行われなかったものの、当NEXTMONEYの2025年1月8日付特集記事「仮想通貨取引所ジェミニがCFTCと500万ドルの罰金の支払いで和解に合意」で報じたように、CFTC(米国商品先物取引委員会)は2022年にジェミニを、価格操作を防ぐ能力を偽って伝えたとして提訴。ジェミニは1月にCFTCに500万ドル(約7.9億円)を支払い、和解した。
それにもかかわらず、ブルームバーグは2月初め、ジェミニが今年中にIPO(新規仮想通貨公開)を検討していると報道。
ジェミニは、新たな規制要件に応じて他の海外の仮想通貨取引所とともにカナダから完全に撤退した直後の10月に、シンガポールで主要決済機関ライセンスの原則的な承認を受けた。