バイナンスとSEC、戦略転換により裁判所が訴訟を60日間停止

バイナンスとSECの法的対立を象徴する天秤、60日間の訴訟停止を示す砂時計が描かれたバナー

バイナンスとSEC間の訴訟を両者合意の下で裁判所が60日間停止

大手仮想通貨取引所バイナンス(Binance)とSEC(米国証券取引委員会)の間で進行中の訴訟が、両者の戦略的な合意により裁判所によって60日間の停止措置が取られることとなった。

この決定は、規制環境の変化を再評価する重要な転換点となる可能性がある。今回の訴訟停止は、バイナンスとSECが米国コロンビア特別区地方裁判所に共同で提出した申し立てによるもので、両者は仮想通貨業界における規制の不確実性を再評価する必要があると判断。この申し立ては、マーク・ウエダ(Mark Uyeda)会長が先月SECの責任者に就任して以降、バイナンス訴訟における最初の大きな動きであることが注目される。

共同申し立てによると、両当事者は、ヘスター・パース(Hester Peirce)氏による仮想通貨タスクフォースの設立を訴訟停止の理由として挙げている。このタスクフォースは、仮想通貨規制の明確化と積極的な政策立案を目的としており、訴訟の解決を促進する可能性があるとされる。

FOXビジネスの記者エレノア・テレット(Eleanor Terrett)氏は、この訴訟停止がリップル(Ripple)社、コインベース(Coinbase)社、クラーケン(Kraken)社など、詐欺以外の訴訟に直面している他の企業にも影響を与える可能性があると示唆している。


SECとバイナンスの法的対立

2023年、SECはバイナンスに対して証券法違反の疑いで13件の告訴を行った。

主な告訴内容は、未登録の取引所運営、バイナンスUSでの取引監視に関する誤解を招く情報の提供、適切な登録なしでの証券の提供と販売などである。

バイナンスと創業者のCZことジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏は、SECがバイナンスの訴えがハウィーテストを満たしていることを証明できなかったとして、訴訟の却下を求める申し立てをした。この申し立てでは、SECが投資契約として販売されるトークンと、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)などの商品として販売されるトークンを区別するための明確な枠組みを裁判所に提供していないことが問題視されている。

さらに、バイナンスとジャオ氏は、SECには仮想通貨業界における証券と商品を区別するための明確なガイドラインが欠けていると主張。この規制の不確実性は、SECからの法的措置に直面している多くの仮想通貨企業にとって長年の課題であり、今回の訴訟でも中心的な論点となっている。

バイナンス訴訟の進展は、SECの新体制下での規制方針の見直しを示唆しており、今後はリップルやコインベース、クラーケンといった企業の訴訟にも影響を与える可能性がある。SECの対応がどのように変化するかが、業界全体の規制環境に大きな影響を及ぼすことになるだろう。

仮想通貨タスクフォースの役割

SECの仮想通貨タスクフォースは、証券法のデジタル資産への適用を明確にすることを目的として公式ウェブサイトを立ち上げた。

この取り組みは、イノベーションと投資家保護のバランスを取ることに重点を置いており、より構造化された規制アプローチへの道を開くことが期待されている。今回の訴訟停止措置は、仮想通貨業界全体における規制の在り方に重要な影響を与える可能性があり、SECがどのような規制戦略を採用するかは、他の主要企業の訴訟にも波及するだろう。

バイナンスは猶予期間を利用して、SECとの和解や訴訟の早期解決を模索する意向を示している一方、SECは規制強化に向けた新たな戦略を策定しており、今回の停止措置がその布石となる可能性が高い。60日間でどのような進展があるかが、仮想通貨市場における重要な指標となるだろう。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム