JPモルガンがビットコインとイーサリアム担保ローンを検討中
大手銀行JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.)は間もなく、ビットコイン(Bitcoin/BTC)およびイーサリアム(Ethereum/ETH)を担保としたローンを提供する可能性がある。
内部事情に詳しい関係者によると、JPモルガンは一部の顧客に対し、顧客の仮想通貨保有量を担保としたローンの提供を検討していると報じられている。JPモルガンは顧客のビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨保有量を担保としたローンの提供計画を検討しており、このサービスは早ければ来年にも開始される可能性があるとフィナンシャル・タイムズは報じている。
かつて仮想通貨懐疑派として知られていたジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)CEO(最高経営責任者)は、ビットコインを「詐欺」と呼び、仮想通貨に手を出すトレーダーは解雇するとさえ発言。しかし、ステーブルコインは「本物」であると認め、現在ではステーブルコインと規制対象デジタル資産への取り組みを支持している。同社は、ステーブルコイン市場が2028年までに5,000億ドル(約73.3兆円)に達する可能性があると予測しているが、それを上回る予測は否定している。
同社は、すでに一部の富裕層顧客に対して仮想通貨ETF(上場投資信託)を担保とした融資を提供しており、次は実際の仮想通貨を担保とした融資が検討される可能性があり、いつ、どのようなタイミングで、どのような状況下で実施されるのか、多くの関係者が固唾(かたず)をのんで見守っている。
JPモルガンの仮想通貨に対する姿勢変化
時価総額4.3兆ドル(約630億円)のJPモルガンは、これまで仮想通貨に対して慎重な姿勢をとり続けていた。
銀行業界で最も声高に仮想通貨に懐疑的な人物の一人であるダイモンCEOは、ビットコインのボラティリティ(価格変動差)の高さや違法行為との関連性を繰り返し批判してきたが、同社の最近の行動は、現実的な見直しが進行中であることを示唆。
この融資プログラムが実施されれば、JPモルガンの顧客は保有する仮想通貨を現金融資の担保として利用できるようになり、投資家がデジタル資産を売却することなく流動性を確保できる。その結果として、長期的な仮想通貨ポジションへのエクスポージャーを維持しつつ、資金調達を求める機関投資家にとって、ゲームチェンジャーとなる可能性がある。
また、このプログラム開始の可能性は、米国の大手銀行による仮想通貨分野への参入に向けた広範な動きの中で浮上した。ワシントンで金融インフラの近代化と仮想通貨規制の明確化を求める圧力が高まる中、BoA(バンク・オブ・アメリカ)とシティバンク(Citibank)はどちらもステーブルコインの取り組みに取り組んでいる。JPモルガンもまた、慎重な姿勢を維持しながらも、ブロックチェーンとトークン化された資産への関与を深めることを示唆している。
JPモルガンはこの報道をまだ確認していないが、今回の動きは、ウォール街が仮想通貨を真剣に受け止めているという、新たな傾向を浮き彫りにしており、規制の枠組みが進化するにつれて、伝統的な金融とデジタル金融の境界線は曖昧になり始めている。