米SECが新たな仮想通貨タスクフォースを設立
SEC(米国証券取引委員会)は、仮想通貨市場の成長に対応するため、新たなタスクフォースを設立した。
この取り組みは、規制の明確化と投資家保護の強化を目的としており、トランプ大統領の仮想通貨推進政策の影響下で設立されたものだ。SEC前委員長であるゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏の退任後、規制アプローチは大きく転換。“Crypto Mom(仮想通貨の母)”の異名で知られるSECコミッショナーのヘスター・パース(Hester Peirce)氏が主導し、過去10年以上続いた規制の混乱を解消することを目指している。
パース氏は、SECの過去の仮想通貨規制アプローチについて、法的不正確さと商業的非実用性が特徴づけられてきたとし、今後は透明性と法的明確性の向上に注力する意向を示している。また、「より良い規制環境への新たな取り組みは、いかなる仮想通貨コインやトークンの承認と見なされるべきではない」として、SECの中立性を強調した。
新たなSECの方針とピアース氏のビジョン
パース氏は、新タスクフォースの中心的な役割を担っており、SECによるこれまでの仮想通貨対応を「法的な曖昧さが長年業界の障害」となってきたと指摘し、今後は明確な規制枠組みの構築を目指すと述べている。
タスクフォースの主要な課題は、仮想通貨が証券か商品かという長年の議論に終止符を打つこと。SECの役割が明確化されることで、仮想通貨企業や投資家が規制対象を正確に把握できるようになることが期待されている。
タスクフォースの主要ミッションは規制の再定義と法的枠組みの最適化
新タスクフォースの主要ミッションは、仮想通貨資産の分類を見直し、証券と非証券の境界を明確にすることを目指す。
このプロセスでは、FDIC(米連邦預金保険公社)やCFTC(米国商品先物取引委員会)などの規制当局と連携し、過剰な規制適用を回避する方針だ。
トークンプロジェクトが最新の情報開示を行い、法的調査を受けずに運営できるよう、一時的な救済措置を検討中だ。また、仮想通貨企業の登録手続きを簡素化し、資金調達の容易化も図る。さらに、貸付やステーキングプログラムの法的枠組みへの適合性も明確化される予定だ。
さらに、投資家保護と市場の透明性強化の一環として、投資顧問が仮想通貨資産を安全に保管できる枠組みを開発し、機関投資家の参入障壁を低減することで市場の健全性を確保する。
仮想通貨業界と規制の新たな地平
仮想通貨業界は、このタスクフォースの設立を歓迎しており、規制の明確化は市場の健全な発展を促進し、投資家保護とイノベーションの両立に寄与すると期待されている。
SECのタスクフォースは、連邦機関、州規制当局、国際的なパートナーと連携し、仮想通貨資産に関する包括的な規制枠組みを策定予定のほか、企業が法的リスクを最小限に抑えつつ、実験できるサンドボックス環境の導入も検討しており、パース氏は、「私たちは高速道路を運転しながらルールブックを書き換えている。しかし、少なくとも今は地図がある」と表現し、投資家保護と市場の健全性を最優先課題として取り組む姿勢を明確にした。
この取り組みが仮想通貨業界の透明性向上と信頼性強化にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目される。