ブラックロックが欧州でビットコインETPを上場へ
世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)は、米国上場のビットコインETF(上場投資信託)であるIBIT (iShares Bitcoin Trust :iシェアーズ・ビットコイン・トラスト)の大成功に乗じて、欧州でビットコインETP( Exchange Traded Products:上場取引型金融商品)をローンチし、仮想通貨商品ラインを拡大する計画が明らかになった。
スイスを拠点とするこのファンドは、ブラックロックにとって欧州市場初の仮想通貨ETPとなる。同社は以前、北米を中心にIBITファンドを立ち上げ、その後カナダでiシェアーズ・ビットコインETFを導入しており、情報筋によると、新しいETPは早ければ今月中にもデビューする可能性があるという。
ブラックロックのIBITは、2024年1月のローンチ以来、最大級のビットコインETFとなり、2月4日時点で580億ドル(約8.7兆円)に相当するビットコイン(Bitcoin/BTC)を蓄積している。また、VettaFiによると、同ファンドは伝統的な金融商品を含むすべてのカテゴリーで世界第31位のETFにランクされている。IBITは、1月30日以来、9億3,400万ドル(約1,410.5億円)近い純流入を集め、5日間連勝でビットコインETFのスポット市場をリード。Farside Investorsのデータによると、資金流入だけで2億4,900万ドル(約376億円)に上り、ビットコインETF市場のスポット利益の大半を牽引した。
米国市場より小規模なEUのETP市場
EU(欧州連合)の仮想通貨ETP市場には現在、さまざまなデジタル資産を追跡する160以上の商品があるが、その規模は依然として米国市場より小さい。
そのため、今拡大は、EUの新しい仮想通貨ルールの実施に伴う規制の明確化が進む中、ビットコインが今年最高値を更新したことによるものだ。
ブルームバーグのETFアナリスト、ジェームス・セイファート(James Seyffart)氏は当初、ブラックロックがカナダのビットコインETFの仕組みを、米国上場のIBITの株式をETFが保有するラッパー手法を使って欧州で複製することを検討する可能性があると推測。しかし、同氏はすぐに、この戦略はEUの規制では認められそうにないことを確認している。
EUの規制当局はこのような回避策を却下する構えで、ブラックロックは単独の欧州ビットコインETFを立ち上げる必要があるようで、異なるアプローチが必要となり、手数料にスポットライトが当たることになる。セイファート氏の同僚であるブルームバーグETFアナリストのエリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は、次のようにコメントしている。
EUではこれが許可される可能性は低いと聞いている。そのため、単独商品を発売すると仮定した場合の手数料が興味深い。米国では総コストが25bps(bits per second:ビット/秒)。ヨーロッパでは、ゼロ経費率の商品を出しているValour(バロー)を含め、すでに25bps以下の商品がある。規制のハードルや価格圧力だけでなく、ブラックロックはより根本的な課題に直面している。
一方で、米国のビットコインETF市場は、設立からわずか1年であるにもかかわらず、爆発的な人気を博し、世界市場シェアの91%という驚異的なシェアを獲得。対照的に、欧州はかなり遅れており、欧州の投資家は洗練されてはいるが、米国の投資家の共感を得たようなハイテンションな投資商品への熱意は歴史的に低いようだ。