英国裁判所はサトシ・ナカモトを主張するクレイグ・ライト氏の訴訟を審理

英国裁判所はクレイグ・ライト氏の訴訟を審理

英国の裁判所は、ビットコインの発明者“サトシ・ナカモト”と主張するクレイグ・ライト(Craig Wright)氏の訴訟を審理することが分かった。

オーストラリアのコンピューター科学者である同氏は、ビットコインのファイル形式は英国の著作権法で保護されるべきだと主張しており、今後、法定の場で主張機会を得ると予想される。

同氏がビットコインの発明者であるという憶測は、2015年に初めて広まり始めたものの、同氏がナカモト氏を特定する手がかりを捏造した可能性があると報じられ、一気に広まった。これ以降何年も同氏は、故・デイブ・クレイマン(Dave Kleiman)氏とハル・フィニー(Hal Finney)氏の2人の男性とともにビットコインホワイトペーパーを書いたと主張している。同氏は、ビットコイン創設に役割を果たしたと主張し続けているが、多くの人が彼の主張を懐疑的な目で見ているのが実情だ。懐疑論者は、本物のサトシ・ナカモトは、ナカモトの PGP キーで検証されたメッセージを提供することで身元を確認できると指摘。2010 年以降、この方法で検証された公開メッセージは公開されていない。

ビットコインの著作権を狙う

2019年から同氏は、ビットコインファイル形式、ビットコインホワイトペーパー、ビットコインデータベースの一部に対する著作権の所有権を主張する試みを複数回実施しているものの、これまでのところこれらはほとんど成功していない。

例えば…、米国著作権局は同氏の主張を却下し、誰もビットコインの著作権を登録できないと示唆したうえで、当時発行されたプレスリリースでは次のように述べられている。

作品が仮名で登録されている場合、著作権局は申立人と仮名作者との間に証明可能な関係があるかどうかを調査しない。


裁判所はビットコインの著作権主張を検討

2022年、同氏は再びビットコイン著作権の所有権を主張しようとした。

訴訟では被告のリストを「ビットコイン・コア」と名付け、同氏がビットコインネットワークを管理していると主張する集団メンバーとして25の個人と企業がリストされている。これらには、Block IncやCoinbase などの企業のほか、多くの著名なビットコイン開発者が含まれている。当初、エドワード・ジェームス・メラー(Edward James Mellor)判事はこの請求を棄却。同判事によれば、申立人がサトシ・ナカモトであるという仮定の下でも、著作権の申し立ての対象となる特定の「著作物」を満足に特定できなかった。

ビットコインのファイル形式、ホワイトペーパー、データベースはすべてオープンソースであり、サトシ・ナカモトによるフリー・ソフトウェア・ライセンスに基づいて配布されている。たとえライト氏が彼が本物のサトシ・ナカモトであると証明したとしても、彼の主張は依然として不安定な立場にある。