中国とナイジェリアの通貨スワップは貿易不均衡が原因で何年な結果に
今から5年前にナイジェリアと中国は、CBN(ナイジェリア中央銀行)とPBoC(中国人民銀行)によって促進された通貨スワップ協定を締結したが、残念な結果になっている事がわかった。
中国とのナイジェリアの通貨スワップ協定は、前者のナイラへの圧力を緩和し、国の外貨準備を強化することを目的としていたが、期待に応えられなかったのが現状だ。経済専門家は、スワップ協定の実施を妨げる重要な要因として、両国間の貿易不均衡を理由として挙げている。両国間における通貨スワップ合意の主な目的は、ナイラへの圧力を緩和させ、外国為替の安定を確保することであった。しかし、このような願いにこもかかわらず、2018 年の取り決め開始以降、ナイジェリアの通貨は大幅に下落している。
当時、ナイラは1ドルに対し、305ナイラで取引されていたが、最近では1ドルに対し460ナイラを超えているのが現状だ。同様に、ナイラと元の為替レートは、2018年の1人民元に対して48ナイラであったが、2023年4月6日には1人民元に対して66.70ナイラにまで下落している。
通貨スワップの残念な結果は中国との貿易不均等によるもの
複数の国が中国と同様の取り決めを確立しようとしているため、専門家はナイジェリアの通貨スワップが成功しなかった理由を分析。
PWCナイジェリアの税務および企業アドバイザリーサービスの責任者タイオ・オイデレ(Taiwo Oyedele)氏は、残念な結果になったのはナイジェリアと中国の間の貿易不均衡によるものだと主張。同氏は、ナイジェリアが中国から大量に輸入する一方で、中国への輸出は減少していると指摘。この格差こそ、ナイラ価値の不安定性によって悪化し、通貨スワップ協定の実施を妨げている要因であるとのこと。そのため、ナイジェリアは輸入品に代わる地元産の代替品を促進することで状況を改善し、それによって貿易の不均衡を減らせると示唆している。
将来の軌道は改革と政策選択にかかっている
IMF(国際通貨基金)は、ナイジェリア経済の将来の方向性と債務の持続可能性は、ボラ・ティヌブ(Bola Tinubu)次期大統領が率いる次期政権の改革と政策選択にかかっていることを強調している。
アベベ・アエムロ・セラシエ(Abebe Aemro Selassie)IMFアフリカ局長は、国の経済軌道は、政府改革、効果的な資源配分、石油価格の動向など、さまざまな要因によって決定されると主張している。ナイジェリアは現在、2023年2月の時点で21.91%の高インフレに悩まされており、歳入の圧迫、貧困の蔓延、石油の盗難、物議を醸す燃料補助金政策に取り組んでいる。同氏は、ナイジェリアの債務は現在管理可能に見えるが、持続可能性は、今後数カ月および数年の政府の政策決定にかかっていると概説している。
これらの懸念に呼応して、WTO(世界貿易機関)の事務局長であるンゴジ・オコンジョ・イウェアラ(Ngozi Okonjo-Iweala)氏は、グローバルサプライチェーン(※製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れ)の多様化を求めている。さらに、グローバルバリューチェーン(※価値連鎖)は世界貿易の45~65%を占め、国際商取引のバックボーンとしての重要性を強調している。
ナイジェリアの中国との通貨スワップ協定は、これまでのところ望ましい結果を達成できておらず、両国間の貿易不均衡に対処し、戦略的改革を実施することは、通貨スワップの潜在的な利点を実現し、アフリカの国経済の持続可能性を確保するために不可欠である。