カナダ金融取引委員会が仮想通貨と麻薬マネーロンダリングの関係に警告
カナダのFINTRAC(金融取引委員会)は、仮想通貨が違法な麻薬取引やマネーロンダリング(資金洗浄)に利用されている現状について警鐘を鳴らした。
FINTRAC published today an #OperationalAlert to support businesses in recognizing financial transactions related to the laundering of the proceeds of fentanyl and other illegal synthetic opioids. Learn more from our report: https://t.co/thMn4EqKOL 1/3 pic.twitter.com/T1pXhlFeX5
— FINTRAC_Canada (@FINTRAC_Canada) January 23, 2025
FINTRACは本日、フェンタニルやその他の違法合成オピオイドの収益の洗浄に関連する金融取引を認識する企業を支援するためのOperationalAlertを発表しました。
特に、合成フェンタニルやオピオイドの密売が仮想通貨を通じて行われている事例を指摘しており、この問題が拡大していることを強調。FINTRACは、化学薬品の輸送やサービスの支払いに仮想通貨が利用されるケースが増加していると報告しており、オピオイド関連の取引において、仮想通貨が匿名性と追跡困難性を利用され、不正資金の移動を助長していると述べている。
犯罪者は仮想通貨アドレスを通じて、ダークウェブ市場や組織犯罪ネットワークの一部として取引しており、このような環境は、国際的な犯罪の資金流通を容易にし、摘発を難しくしている。
ダークネット市場の役割
FINTRACの調査では、フェンタニル生産者と購入者を結びつけるダークネット市場の重要性が明らかにされた。
これらのプラットフォームは、主に仮想通貨を支払い手段として採用し、エスクローサービスを使用して取引を完了する仕組みが取られている。資金が解放されると、それらはプライベートウォレットに転送されたり、ミキシングサービスを通じて洗浄されたり、取引所を通じて法定通貨に変換されるため、資金の追跡が非常に困難になる。
新たなリスク要因とAMLへの影響
2025年1月23日に発表されたFINTRACの最新「運用アラート」では、麻薬関連のマネーロンダリング問題における仮想通貨の新たなリスク要因が挙げられた。
具体的には、新規アカウントを通じた仮想通貨から法定通貨への大規模変換や、取引元を隠すための複数ウォレットの使用、高リスク地域や疑わしい活動がフラグ付けされたアカウントからの仮想通貨取引所への入金が含まれる。FINTRACは金融機関や仮想通貨サービスプロバイダーに対し、これらのリスク要因をAML(マネーロンダリング対策)戦略に取り入れるよう求め、仮想通貨エコシステム全体で協力する必要性を強調している。
国際的な対応と協力の必要性
この警告は、仮想通貨の犯罪利用に対する世界的な懸念が高まる中で発せられたもので、EAG(ユーラシア・マネーロンダリング対策グループ)も最近、仮想通貨を利用した高度な資金洗浄手法や、テロ資金供与につながる現金化スキームの拡大について警告している。
同グループは、偽の身元ウォレットの使用や、外国の仮想通貨プラットフォームが違法行為を助長する主要な要因となっていると指摘しており、国際的な協力を通じた対応の重要性を訴えている。
仮想通貨は技術的な進歩と利便性から合法的な用途での利用が拡大している一方で、犯罪者による悪用も増加。この状況を踏まえ、産業界は規制強化が技術革新を妨げないよう配慮する必要がある。政府や規制当局は透明性を高め、取引の追跡可能性を強化するための技術を導入しつつ、仮想通貨業界との連携を深めることが求められる。これにより、仮想通貨が合法的な発展を遂げると同時に、犯罪活動の抑制にも寄与することが期待される。