ブータン政府が仮想通貨ビットコイン(Bitcoin/BTC)を売却し、4,000万ドル(約60億円)相当を現金化した。この動きは仮想通貨市場に注目を集めるとともに、BTC価格の一時的な下落を引き起こしたと見られている。
ビットコイン高騰を活用したブータンの財政戦略
ビットコイン価格が上昇しているタイミングで、ブータン政府は売却を決断した。この戦略的な動きは、国家の財政安定を図るためのリスク分散と現金化の一環と考えられる。
この取引はOnchain Lensによって最初に発見されたものであり、Arkham Intelligenceのデータによると、ブータンの政府系持株会社であるDruk Holdingsは現在も仮想通貨を大量に保有していることが分かっている。同社は115万ドル(約1.7億円)に相当する11,688 BTCを保有しており、さらに253万ドル(約3.8億円)相当の656イーサリアム(Ethereum/ETH)も含まれている。
Druk Holdingsの背景とマイニング事業
Druk Holdingsは、ブータン国民の長期的な利益を目的に2007年に設立された政府系持株会社である。同社のポートフォリオは、Bhutan Telecom、Druk Corporation、Bhutan National Bank、Royal Insurance Corporation of Bhutanへの投資を含む11億3000万ドル(約1,713.7億円)相当とされる。
さらに、同社は仮想通貨マイニング事業にも積極的に取り組んでいる。AntPoolやFoundryなどの大手マイニングプールを活用し、1週間あたり55〜75 BTCをマイニングしている。この業務は、ブータンの豊富な水力発電による安価でクリーンなエネルギーを活用して行われており、環境への配慮と効率性を両立している。
仮想通貨市場への影響と今後の展望
ブータンの大規模な売却により、市場には売り圧力が生じ、BTC価格が一時的に下落した。このような動きは、仮想通貨市場の流動性や価格形成に直接的な影響を与える。特に国家単位での大規模な取引は、市場参加者にとって注目すべき動向と言える。
一方で、今回の売却により、他国も仮想通貨を財政戦略の一部として活用する可能性が示唆された。特に、価格変動の激しい資産をどのように管理・売却するかという視点で、ブータンの取り組みは他国にとっての参考モデルとなり得る。
仏教王国の仮想通貨運用 – その影響と教訓
ブータンは仏教の教えに基づいた慎重な財政運営を続けているが、今回の仮想通貨売却により、同国がいかにして現代の金融市場に対応しているかが浮き彫りとなった。
仮想通貨市場は依然として不安定であり、国家が大規模な取引を行う場合、その影響は計り知れない。ブータンの戦略は、仮想通貨を活用する他の国家や機関にとっても重要な洞察を提供している。