ウクライナとロシアが東欧の仮想通貨取引をリード

ウクライナとロシアが東欧の仮想通貨取引をリード

地域の不安定さの中で、ロシアとウクライナは取引額でリードしており、ロシアは1,820億ドル(約27.6兆円)以上、ウクライナは1,060億ドル(約16兆円)以上を受け取っていることが分かった。

ブロックチェーン分析を手掛けるChainalysis(チェイナリシス)の調査レポート「Despite war and regulatory questions, crypto adoption grows in Eastern Europe driven by institutions and DeFi activity(日本語訳:戦争と規制の問題にもかかわらず、機関投資家とDeFi活動の推進により、東ヨーロッパでは暗号通貨の採用が拡大している)」によると、ウクライナとロシアでの機関投資家や草の根レベルの積極的な取り組みが牽引し、東欧では、仮想通貨の導入が加速している事が判明。2023年7月~2024年6月の間に4,990億ドル(約75.7兆円)以上のデジタル資産が受け取られていることが判明。特に、DeFi(分散型金融)の活動がこの合計に1,650億ドル(約25兆円)以上貢献し、この地域の仮想通貨取引の約3分の1を占めている。

現在進行形の戦争と国際制裁にもかかわらず、ロシアとウクライナはどちらも仮想通貨の取引額でリードしており、ロシアは1,820億ドル以上、ウクライナは1,060億ドル以上を受け取っている。同レポートは、混乱の中で投資家が金融の安定を求めていることから、大規模な機関投資家による送金がウクライナの市場成長を大きく牽引していると指摘している。WhiteBITのような現地取引所は活発に活動を続けており、世界的な市場の変動とインフレの影響を受けている専門家による送金の急増を促進している。

ウクライナでは大規模な機関投資家による分散型金融取引が増加

過去1年間で、ウクライナでは大規模な機関投資家による分散型金融取引(1,000万ドル超)が約362%増加し、分散型金融の成長の多くを牽引している。

ウクライナでは、ビットコイン取引の増加が特に顕著で、国の通貨であるフリヴニャを使用した購入額は過去1年間で8億8,200万ドル(約1338.5億円)を超えている。ウクライナでは、小規模および大規模な小売取引がそれぞれ82.2%と92%近く増加し、小売仮想通貨の活動も増加。小規模な取引は一般的に「草の根の採用」を示しており、この地域の地政学的不安定性とウクライナの最近のインフレからの回復を考えると、これらの小規模な取引は投資家が仮想通貨を使用して日常の購買力を強化していることを示している可能性があると同レポートは説明している。

この傾向は、2022年12月に26%を超えてピークに達した高インフレ期に続いている。この数字からも分かるように、多くのウクライナ人がビットコイン(Bitcoin/BTC)について、価値を保管するためのより安全な代替手段と見なすようになっているのが現状だ。

Chainalysisのアナリストは、2023年にはDeFiが東ヨーロッパのすべての仮想通貨活動の33%以上を占めることを強調。世界的に見ると、東ヨーロッパは、ラテンアメリカ、サハラ以南アフリカに次いでDeFiの前年比成長率で第3位にランクされており、規制条件が不確実な地域においてその傾向が顕著となっている。