バイナンスがカナダの金融取引委員会からの罰金を科せられたことに対し控訴
大手仮想通貨取引所バイナンス(Binance)は、FINTRAC(Financial Transactions and Reports Analysis Centre:カナダ金融取引報告分析センター)が課した440万ドル(約7億円)の罰金に正式に異議を申し立てたことが明らかになった。
事の発端は2024年5月9日、FINTRACはバイナンスに対し、AML(マネーロンダリング:反資金洗浄)およびCFT(テロ資金供与対策)規制を遵守していない疑いがあるとして、600万カナダドル以上(440万ドル)の罰金を課す通知を出した。規制当局は特に、バイナンスがFMSB(外国マネーサービス事業)としての登録と10,000カナダドル(約115万円)を超える大口取引の報告を怠った疑惑を挙げている。
規制当局はバイナンスがAMLおよびCFT規制を守らなかったと主張
この罰金は5月に課されたもので、バイナンスがAMLおよびCFT規制を遵守しなかったとしており、上訴は2024年6月5日にカナダの連邦裁判所に提出されており、FINTRACは次のように述べている。
バイナンスは、FMSBとしてFINTRACに登録する機会を何度か与えられたが、指定された期限までに登録を完了していなかった。バイナンスはFMSBとみなされ、2023年9月25日までFINTRACに登録する必要があった。
なお、FINTRACは、バイナンスが外国マネーサービス事業者として登録せず、10,000ドルを超える取引を報告していなかったことを指摘したが、バイナンスは控訴の中で、同社のサービスはカナダ居住者をターゲットにしていないと主張している。
バイナンスはカナダ市場から撤退する意向
バイナンスは2023年5月にカナダ市場から撤退する意向を表明しており、その決定には厳しい規制環境が決定的な理由として挙げられている。
しかし、カナダ規制当局との対立は孤立したものではなく、バイナンスのコンプライアンス問題は、さまざまな管轄区域で精査を呼び起こしており、カナダでの上訴は、複雑なグローバル規制の枠組みをナビゲートする取引所にとって、より広範な課題を浮き彫りにしている。実際、バイナンスの規制上の課題はカナダ国境を越えて広がっており、同取引所は最近、米国当局との43億ドル(約6,827億円)の和解に合意することで、米国での重要な法廷闘争に決着をつけた。
この和解は、FINTRACによる申し立てと同様の申し立てを受けたもので、当時のCEOであったジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏が重罪を認めた後に辞任することを要求しており、同氏は現在、連邦刑務所に4カ月服役している。
さらに問題を複雑にしているのは、DOJ(米国司法省)が今後3年間、バイナンスのコンプライアンス対策を監督するフォレンジック・リスク・アライアンスを任命したことだ。この決定は、FTXの破綻に巻き込まれた法律事務所、サリバン&クロムウェルが監視の役割を失うという物議を醸した審議の後に下されている。