中国とシンガポールが提携=観光客によるデジタル人民元の利用を許可へ

中国とシンガポールの観光客はデジタル人民元が使えるように

シンガポールと中国は、両国の観光客が中国CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)であるe-CNY(デジタル人民元)を使えるようにする実験で協力し、観光客によるデジタル人民元の利用許可に向けて提携したことが分かった。

シンガポール中央銀行は今回の提携により、旅行者が海外旅行中に買い物をする際の利便性が向上すると説明している。シンガポールの中央銀行であるMAS(シンガポール金融管理局)は2023年11月7日(木曜日)、「new digital finance and capital markets initiatives to expand its financial cooperation with China(日本語訳:中国との金融協力を拡大するための新たなデジタル金融および資本市場の取り組み)」を発表した。

MASは、その取り組みの1つが中国とシンガポール間の国境を越えたe-CNY試験であると説明。MASとPBC DCI(中国人民銀行デジタル通貨研究所)がデジタル金融協力に関する覚書(MOU)を締結した事を公表。MASとPBC DCIは、両国旅行者がシンガポールと中国での観光支出にe-CNYを使用できるようにする試験運用に着手。これによって、旅行者の海外旅行中の買い物の利便性が向上すると期待されている。

香港もデジタル人民元両替サービスの提供開始

中国は世界に先駆けて中央銀行デジタル通貨開発の最前線にあり、e-CNYプロジェクトを積極的にテストしている。

デジタル人民元の研究を開始して以降、PBOC(中国人民銀行)はパイロットプログラムの範囲を着実に拡大しており、現在、中国全土にデジタル人民元の試験地域が26カ所に設置されている。同銀行の易綱(Yì Gāng)総裁は7月、中国中央銀行デジタル通貨を利用した取引が6月末時点で1兆8000億元(約36.5兆円)に達した事を明らかにした。

香港ドルを発行する銀行の一つであるスタンダードチャータード銀行(Standard Chartered Bank)は11月、中国でデジタル人民元両替サービスの提供を開始したと発表。さらに、PBOCとHKMA(香港金融管理局)は、香港内の決済と国境を越えた取引にデジタル人民元を統合する第2段階に入っている。