フランス、シンガポール、スイスの中央銀行がwCBDCトライアルに成功

フランス、シンガポール、スイスの中央銀行がwCBDCトライアルに成功

フランス、シンガポール、スイスの中央銀行は2023年9月28日(木曜日)、BIS(国際決済銀行)と共同で、wCBDC (※1)のクロスボーダー取引であるマリアナプロジェクト(Project Mariana)のトライアルに成功したことが明らかになった。

(※1)wCBDC(ホールセール型CBDC)とは…
CBDCは中央銀行発行デジタル通貨であるの板石、wCBDCは、民間金融機関が中央銀行に保有する伝統的な中央銀行預け金(準備金)を、デジタル台帳技術を使って進化させたデジタル通貨の事。

CBDCに傾きつつある銀行間外国為替の将来にも光を当てる

このトライアルは、DeFi(分散型金融)技術の可能性を示すだけでなく、CBDCに着実に傾きつつある世界における銀行間外国為替の将来にも光を当てている。

このトライアルの背後にある革新的な取り組みである同プロジェクトは、パブリックブロックチェーンを用いたDeFiのコンセプトに基づいて構築されている。共通のトークン標準を利用し、通貨間のシームレスな相互運用性と交換を保証しており、さまざまなネットワーク間でwCBDCを円滑に移転するためのブリッジが設計されると同時に、AMM(自動マーケットメイカー)が採用され、スポットFX取引の即時価格決定、執行、決済が容易になった。

このテストは、3つの中央銀行によってユーロ、シンガポール・ドル、スイス・フランを想定したwCBDCが統一プラットフォーム上で取引を行う状況をシミュレートすることを本質的な目的としている。その結果、同プロジェクトは、より多くの中央銀行がCBDCを採用する時代に、外国為替決済の可能性を垣間見る貴重な機会を提供した。特に、グローバル金融インフラの複雑な一面を長年担ってきたクロスボーダー決済の合理化において、この試行の成功は潜在的な利点を強調している。

まだ初期段階にあるトークン化やDeFiを含む技術は今後の調査と研究が必至

今回の実験が大きな進展を示したとはいえ、トークン化やDeFiを含む技術はまだ初期段階にあるため、このようなシステムが一般的になるには、まだかなりの調査と研究が必要だ。

それでも。このイニシアチブの成功は、DeFi要素、特にAMMを統合することが将来、金融インフラのバックボーンを形成する可能性があることを示している。さらに、スマートコントラクトが活用されたことで、中央銀行は、基盤となるプラットフォームに直接関与することなく、wCBDCを効率的に管理できるようになった。BISイノベーションハブのセシリア・スキングスレー(Cecilia Skingsley)代表は、プロジェクトの成功について次のように述べている。

マリアナ・プロジェクトは、銀行間外国為替市場に斬新なテクノロジーを導入した先駆者です。このプロジェクトは、AMMのような画期的なコンセプトを用いて、国境を越えてホールセールCBDCを交換することが可能であることを示しました。

世界が注目し、CBDCが世界的に普及し続ける中、同プロジェクトのようなテストは、間違いなく将来のデジタル金融の展望を形作る上で極めて重要な役割を果たすと期待されている。