サム・バンクマン・フリード、盗まれた資金1億ドルを政治献金に流用した疑い

サム・バンクマン‐フリード氏が政治献金流用詐欺で起訴される

FTXの共同設立者であるサム・バンクマン‐フリード(Sam Bankman-Fried)氏に対する新たな起訴状を提出し、2022年の中間選挙を前に、1億ドル(約146.4億円)の顧客資金を盗んで選挙寄付を行ったとする詐欺罪で起訴したことが明らかになった。

検察当局によると、バンクマン‐フリード氏は、FTXの政治的影響力を最大化するために、FTXの姉妹取引会社であるアラメダ・リサーチ社から顧客の資金をひそかに同社重役の個人銀行口座に誘導し、その重役が個人名義で政治献金をしていたとのこと。同氏はその後、この影響力を利用して、FTXが顧客からの預金を受け入れ続け、成長し続けることを容易にすると考えた法案や規制を支持するよう、議会や規制当局に働きかけたとして、起訴状の中で次のように主張している。

バンクマン‐フリード氏がよく知っているように、FTXの財務には、彼自身が取引所から顧客資金を不正に流用したために生じた数十億ドル規模の欠陥があったにもかかわらず、2022年11月のFTXの破綻まで、不正に流用された顧客資金を自分の投資、買収、選挙献金の支払いに使い続けた。


FTXは法案を議会や規制当局が可決することを望んでいた

検察側は、同氏が献金で特に民主党と共和党の両方を標的にしたことを指摘し、FTXが米国で顧客からの預金を受け入れ、継続的に成長できるような法案を議会や規制当局が可決することを望んでいたと述べている。

検察当局は以前、同氏を選挙資金法違反で起訴していたが、バハマが12月に同氏を身柄送還する際の協定にこの容疑は含まれていないと米国に伝えたため、起訴を取り下げている。今回の起訴は、FTXの法的破綻の最新章であり、FTXは同氏を200億ドル(約2.9兆円)以上の億万長者にした巨大な仮想通貨取引所であったが、自社のFTTトークンの売り浴びせが引き金となった流動性危機の後、11月に破綻し破産を申請している。

違法取引疑惑による起訴

破綻直後にFTXとアラメダ社間の違法な取引に関する疑惑が浮上し、12月に同氏はバハマで逮捕され、電信詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)の共謀、証券詐欺の共謀、米国選挙資金法違反の共謀などの容疑で起訴されている。

容疑の中心は、アラメダ社の負債返済と政治献金目的で顧客から金を巻き上げ、アラメダ社につぎ込んでいたというものであり、FTXの財務状況について顧客を欺いたとして告発された。さらに2023年7月、バハマは米国政府に対し、身柄引き渡し協定に含まれていないとして、選挙資金規正法違反など、起訴された罪状の一部について同氏を起訴しないよう要請したとのこと。

一方、同氏は、目撃者を改ざんした疑いで保釈条件に違反したとする金曜の判事の判決を受け、ブルックリンのメトロポリタン拘置所に拘留されている。同氏は、元恋人でアラメダ社の元CEOキャロライン・エリソン(Caroline Ellison)氏に関する情報をニューヨーク・タイムズ紙に流したとされており、裁判所は、エリソン氏の信用を失墜させようとしたものだと判断。これにより、同氏はカリフォルニア州パロアルトにある数百万ドルの豪邸ではなく、拘置所で裁判を待つことになる。