中国人民銀行が最新デジタル人民元統計を公表
中国の中央銀行にあたる中国人民銀行総裁は、同国のCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)を使用した取引が、6月末時点で1兆8,000億元(約35.4兆円)に達したことを明らかにした。
同銀行はさらに、流通しているデジタル人民元についても公表しており、現在流通量は165億元(約3,243億円)に達すると述べた。同銀行の易綱総裁(Yi Gang)によって2023年7月19日(水曜日)、シンガポールの中央銀行にあたるMAS(シンガポール金融管理局)主催の講演会で、デジタル人民元に関する最新の統計を明らかにされた。
同銀行は、e-CNYとも呼ばれるデジタル人民元を利用した取引が6月末時点で1兆8,000億元に達し、2022年8月には約1,000億件のデジタル人民元取引が記録された。また同総裁は、デジタル人民元の流通量が6月末時点で165億元に達したことも明らかにしたほか、デジタル人民元取引の総数は9億5,000万件に達し、1億2,000万のウォレットが開設されたと詳細を述べた。
デジタル人民元残高は非常に少なくなっている
同総裁は、流通しているデジタル人民元が中国のM0マネーサプライ=流通している現金のわずか0.16%を占めるに過ぎないと指摘しており、これらの件について報じたロイター通信によると、同総裁は次のように述べている。
現時点では、デジタル人民元(e-CNY)の残高はM0の1%の20分の2のみであるため、残高は非常に少なくなっていますが、この種の残高により、多数のトランザクションがサポートされます。これは、速度が高く、より効率的であることを意味します。
人民銀行は2019年末にデジタル人民元の試験運用を開始し、蘇州、深セン、雄安、成都など中国全土のさまざまな都市でデジタル通貨のテストを実施している。済南市は7月、公共交通機関の運賃のデジタル人民元決済を導入。さらに、上海手形交換所も最近、デジタル人民元決済のサポートを追加している。一方で中国の銀行は、デジタル人民元のテストをSIMカードとNFC決済にも拡大させている。