韓国検察が仮想通貨取引所アップビットとビッサムを強制捜査
韓国当局は、政治家キム・ナムグク(Kim Nam-kuk)氏に対する捜査の一環として、アップビット(UpBit)とビッサム(Bithumb)の事務所を強制家宅捜索した事が現地メディアの報道によって分かった。
報道によると、韓国検察はキム・ナムクク(Kim Nam-kuk)議員に関連する捜査の一環として、同国内の2つの主要仮想通貨取引所である2社のオフィスを家宅捜索したとのこと。同議員は、必要な規制を回避し、80万のWemixトークンを取得したことが複数の報道で明らかになり、国民の厳しい監視にさらされている。同氏は2022年、コインをビッサムからアップビットに移送したが、当局はプラットフォームが何らかの形で関与した可能性があると示唆している。
捜査はさらに広がるをみせる
同メディアによると、韓国当局はキム議員の事件を解明するため、ソウルにあるアップビットとビッサムの本社の家宅捜索に着手。
韓国民主党は、同氏が数年前にインサイダー情報を利用してウィーミックス(WEMIX/WEMIX)を蓄積した可能性があるとの非難を受け、同氏に80万枚のWemixコインを売却するよう促した。
同議員は2022年の初めに資産を引き出したとされており、時期的に、仮想通貨事業者に758ドル(約10万円)を超える送金時、個人情報の報告を義務付ける法律が施行される数カ月前のタイミングであったという。なお、同議員は、韓国におけるデジタル資産に対する所得課税の延期を提案したチームの一員でもあった。同議員は、民進党の要求を満たし、現在約66万ドル(約9,000万円)相当の保有株を売却すると述べると同時に、次のように語っている。
私は党から仮想通貨を売却するよう勧告を受けました。勧告を忠実に実行し、捜査チームに透明性を持ってデータを開示し、誠実に捜査に応じます。
仮想通貨関連情報を発信するWu Blockchainは、同議員が2022年にビッサムからアップビットにWEMIX 80万枚を送金しており、それが取引所に対する捜査のきっかけとなった可能性があると主張。アップビットはこれを「不適切な取引」と考え、当時政府に報告している。
なお、今回の強制家宅捜査は、同議員が議員辞職直後の5月14日(日曜日)に実施されている。
今年2度目のビッサムへの当局による調査
韓国の検察当局は、ビッサム社またはビッサム社で働く人物がプラットフォーム上に上場されている未公開コインの価格を操作したといううわさを受け、2023年1月にビッサム社の事務所を強制捜査しており、当時、当局側は次のように述べている。
これは特定のコインの取引詳細を確保するための捜索と押収であり、ビッサムとは何の関係もない。
この査察は、検察が横領容疑と市場操作の容疑で当時同取引所のオーナーであったカン・ジョンヒョン(Kang Jong-Hyun)氏に逮捕状を請求した直後に行われている。ソウル南部地検が転換社債を発行し、特定企業の株価を人為的につり上げたと主張したことを受け、カン氏の妹も同国内法の問題に直面していた。
ビッサムは韓国最大の仮想通貨取引所の1つではあるものの、長年にわたって一定レベルの論争にさらされており、同取引所の運営会社Bithumb Holdings Co.の筆頭株主であるパック・モー(Park Mo)氏は、2022年12月にソウル南部の自宅前で亡くなっている。