Appleが高利回り普通預金口座開設でDeFiに挑戦か
米・カリフォルニアの多国籍テクノロジー企業Appleが、業界をリードする4.5%APY(Annual Percentage Yield:年換算利率)の貯蓄率を提供する新しい普通預金口座を開設したことで、より広範な DeFi(分散型金融)市場に挑戦する可能性が急浮上し、市場内外から高い関心が寄せられている事が分かった。
Apple「Apple Card」より画像引用
4月17日(月曜日)に同社は、顧客に年率4.15%を提供する「Appleカード普通預金口座(Apple Card savings account)」を導入。同社は、最低入金額や残高の要件はなく、顧客はiPhoneにプリインストールされているウォレットソフトウェアを使用して直接アカウントを設定できるとのことだ。
Appleの新しい貯金機能
Appleは、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)社と協力して一般に公開。
154年の歴史を持つ同金融機関は、理論的には貯蓄口座の管理を担当しているため、すべての残高はFDIC(連邦預金保険公社)によってカバーされている。
Appleカードを使用する顧客は、新たに開始された高利回りの普通預金口座を利用できる。また、それとは別に、Appleカードユーザーが支払いをすると、それらの取引に対して一定のキャッシュバックを受ける資格が得られる。デフォルトでは、ユーザーは取引ごとに1%のキャッシュバックを獲得し、Apple Payでの購入ごとに2%のキャッシュバックを獲得。ただし、3%の報酬を得るには、特定の小売店での商品購入が必須である。
DeFiを混乱させるか
FDICによると、米国の普通預金口座APYはわずか0.35%で、Apple最新の4.15% APYは両者を比較すると高く見える。
ただし、コンパウンド(Compound)、アーベ(Aave)、クリーム(Cream)、ネクソ(Nexo)、ナショナル(Notional)など、著名DeFiプロトコルによって提供される競合する高利回りアカウントは、Appleの金利よりも優れていないとしても、同等の金利を提供し続けている。DeFi プロトコルがテザー(Tether/USDT)、トゥルー(TrueUSD/TUSD)、ユーエスディーコイン(USD Coin/USDC)などのステーブルコインでリターンを提供するのは、仮想通貨ウォレットに米ドルを保管することと機能的に同等である。そのようなプロトコルによって生み出された収益は非常に変動しやすいものではあるものの、平均すると、その国で提供されている標準的な銀行金利よりも大幅に高くなっている。
現在の状況では、DeFiはAppleよりも高い利回りを提供し続けており、その結果、存続の危機について多くの懸念はないにもかかわらず、伝統的なビジネスが貯蓄口座セクターの空白を埋め始めているため、近い将来、DeFiは激しい競争に直面する可能性がある。