SECはBinance.USによるVoyager Digitalの10億ドル買収に反対

SECがBinance.USによるVoyager Digital買収にNO

SEC(米国証券取引委員会)は、Binance.USが破綻した仮想通貨貸し手Voyager Digitalを約10億ドル(約1,339億円)相当の買収計画に反対したことが分かった。

2023年1月4日(水曜日)付けの提出書類で、SECは限定的な異議と権利留保を提出。SEC は、購入契約にはBinanceが取引を完了する能力についての十分な詳細が含まれていないと指摘しており、次のように述べている。

買収後のBinance.USの事業運営の性質を含め、資産購入契約には、債務者が10億2,200万ドルと評価するこの規模の取引を完了するBinance USの能力の詳細などが含まれていません。


SECは顧客の払い戻しに関する詳細を求める

SECは、債務者であるVoyager Digital社が顧客資産を保護する方法について、さらに詳細を要求している。

資産の取得後、債務者とBinance.USの両方による盗難や紛失から保護するために実装されたセーフガードに関する情報が必要とのこと。なお、Voyager Digitalの仮想通貨ポートフォリオのリバランスに関する詳細も、SEC から要求されている。SECは基本的に、Voyager Digitalが売却取引から何かを受け取る前に、顧客資金が全額返還されるようにしたいと考えているとみられる。

アカウント所有者に配布できない仮想通貨の販売や、アカウント所有者に配布されるVoyager Digitalまたは Binance によってサポートされる仮想通貨の購入、アカウント所有者への配布を有効にするために必要かつ適切なその他のトランザクションの完了に関する詳細が要求される。

SECとテキサス証券がBinanceに反発

予定されている公聴会に先立って、SEC は、Binance.US による Voyager Digital買収提案に対して限定的な異議申し立てを提出し、Binanceによる買収について懸念を表明したうえで、同取引についてより明確にするよう求めている。

SECは具体的に、仮想通貨取引所が、まだプラットフォームに資金を滞留させているVoyager Digitalのユーザーにどのように補償することを計画しているかを知りたがっている。SECは、必要な情報が不足しているという理由で異議を唱えただけでなく、Binance.US がこの規模の買収に資金を提供できることについても異議を唱えている。また、Voyager Digitalの資産を管理した後、仮想通貨取引所がどのように機能するかについても説明を求めている。

なお、SEC の異議とは異なり、州規制当局は、州内のVoyager Digitalの顧客利益を保護する方向に偏っており、取引両当事者はテキサス州の事業法を順守していないことから、州内で事業を行う権限がない事を理由に資産売却に反対していると説明している。Binance.US はいずれにも対応しておらず、法廷審問は1月5日に行われ、4月18日の完了日までに取引が完了しない場合、1カ月の延長の対象となるという。