Bitpandaが従業員3分の1をレイオフ
オーストリアの仮想通貨取引所Bitpandaは、予測不可能なクリプトウィンター(仮想通貨の冬)に備え、ほぼ3分の1にあたる従業員のレイオフ(人員削減)を実施したことが明らかになった。
アラン・ハワード(Alan Howard)氏とピーター・ティール(Peter Thiel)氏のVC(ベンチャーキャピタル)企業Valar Venturesからの投資を誇るBitpandaは、SaaS型のビジネスチャットツールSlackメッセージを介して、従業員に不確実な市場環境と多すぎる従業員数を理由に、従業員の3分の1を解雇することを決定した事を通知した。これにより、Bitpandaは約1,000人いる従業員のうち、約230人を削減し、人数が増える中で経営上の連携不足により、会社に影響を及ぼす可能性の低い役職を切り離すことを目指すとのこと。
仮想通貨業界で続くレイオフ
仮想通貨業界では、当NEXTMONEYの特集記事「Coinbase CEOは差し迫る仮想通貨の冬を目前に従業員の18%をレイオフへ」、「Crypto.comは市場の低迷を理由に企業スタッフの5%を解雇」、「BlockFiは市場の後退の中でスタッフの20%をレイオフへ」で報じたように、大手仮想通貨取引所Coinbase、BlockFi、Crypto.comといった仮想通貨取引所で大規模なレイオフが実施されており、Bitpandaもこれに続く形となった。
Bitpandaは2014年にエリック・デムート(Eric Demuth)氏、ポール・クランチェック(Paul Klanchek)氏、クリスチャン・トランマー(Christian Trummer)氏によって設立された後、オーストリア国営郵便局と提携し、1,800の支店でビットコイン(Bitcoin/BTC)バウチャーを販売したことで知られている。また、Bitpandaは、リテール仮想通貨取引、株式デリバティブ、コモディティなど、幅広い仮想通貨商品を提供しており、多くのユーザーを抱えている。
Bitpandaは、人員削減の影響を受けた従業員に対し、新しい職を見つけるための支援を提供することを明らかにしており、Bitpanda Talent Connect Hubにより、LinkedInのプロフィールと履歴書を作成するための支援を提供するとのこと。さらに、求職者と人材紹介会社をつなげるようサポートするほか、経営陣は、口頭と書面による推薦状を提供し、メンタルヘルスサポートのために心理学者によるサポートも提供する予定とのこと。
実際、Coinbaseは仮想通貨市場の幸福感に乗り、従業員数が昨年の3,730人から6,000人に急増したが、2022年初めに約1,000人の人員削減計画を発表しただけでなく、最高政策責任者は、さらなる雇用削減を否定できないと発表している。
大手メディアによると、デリバティブ商品だけでなく実際の仮想通貨の取引も、2022年3月から5月にかけて合計8,000億ドル(約109兆円)と、前年同期から50%以上減少しており、仮想通貨を取り巻く規制が世界的に成熟するにつれ、取引所のコストが増加すると懸念されている。