メタバースに移行した初の国ツバル
オセアニアに位置する9つの島からなる立憲君主制国家(旧:エリス諸島)であるツバル当局は、国のデジタルレプリカを作成する計画を発表した事が分かった。
海面上昇によって物理的に島国消滅の危機にあるといわれるツバルのサイモン・コーフェ(Simon Kofe)外務大臣は、COP27(COP27 climate summit)気候サミットでメタバースに島々やランドマークを再現する計画を発表。同大臣は、海面上昇に直面して国が生き残るための“別の解決策”を検討する時が来たと主張。さらに、デジタルレプリカは、国の文化と知識を将来の世代のために保存できると主張。ツバルの首相は、プロジェクトについて次のように説明している。
私たちの土地、私たちの海、私たちの文化は、私たちの人々の最も貴重な資産であり、物理的な世界で何が起こっても、それらを危害から守るため、それらをクラウドに移行します。
このプロジェクトが実施されれば、ツバルは完全にメタバースに移行する初の国となる。また、韓国の首都ソウルやカリブ海諸国のバルバドスに加わり、国家レベルでのメタバースのアーリーアダプターとなる。
気候変動の壊滅的な影響
海面上昇は、小さな太平洋の島国に脅威をもたらす。
コーフェ外務大臣は、2021年に開催されたCOP26会議で、ツバルの気候変動に対する脆弱性を示すために膝まで水に浸かって演説し、世界の注目と関心を一気に集めた。同国は、満潮時には首都地区の最大40%が水没する。科学者は、今世紀末までに国全体が水没すると予測してり、同大臣は、デジタル国家を構築することで、ツバルが完全に水没したとしても、国家として機能し続けることができると考えていると述べた。
メタバースは、私たちの日常生活に欠かせないものになると予測されており、VRとWeb3.0の使用は、世界の遺産をよりアクセスしやすくし、破壊から保護するための解決策になるかもしれないと期待されている。さらに、世界のメタバース市場の価値は、2028年までに約7,305億ドル(約101.4兆円)に成長すると予想されている。