SWIFTは新ブロックチェーンプロジェクトで企業イベントの効率化を目指す

SWIFTはブロックチェーンを試験的に導入

大手セキュア金融メッセージングシステムSWIFTは最近、フィンテック企業Symbiont Inc.とのパイロットプロジェクトでブロックチェーンを試験的に導入していることが明らかになった。

このコラボレーションは、配当金支払いや合併などの企業イベントに関連するデータ伝送の効率化を目指しているとブルームバーグは報じている。なお、SWIFTによると、シティグループ(Citigroup)、バンガード(Vanguard)、ノーザントラスト(Northern Trust)もこのプロジェクトに参加するとのことだ。

SWIFTの広範なネットワークを利用した調和をめざす

ベルギーに本社を置くSWIFT(The Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication=国際銀行間金融通信協会)は、安全な金融メッセージングシステムの主要プロバイダーであり、会員制の協同組合で、国内と世界の銀行間送金を促進している。

実際、SWIFTは、200以上の国と地域11,000以上の銀行、証券機関、市場インフラ、企業顧客をつないでいるとされ、この実験では、データ追跡と不一致を特定するための透明性に焦点を当てると、ブルームバーグの報道は述べており、中央銀行のデジタル通貨スペースに参入する方法を検討しているとのこと。SWIFTの最高イノベーション責任者であるトム・シャッハ(Tom Zschach)氏は次のように語っている。

SymbiontのアセンブリとスマートコントラクトをSWIFTの広範なネットワークと一緒にすることで、企業活動イベントの複数のソースからのデータを自動的に調和させることができる。

2022年5月にSWIFTは、フランスの情報技術サービス・コンサルティング企業であるCapgeminiとCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の相互運用性について協力していることを報告した。

摩擦のないクロスボーダー取引を目指す

今回の実験の目的は、デジタル通貨を活用し、“摩擦のない”クロスボーダー取引を実現することであり、パイロット・プロジェクトを通じて、SWIFTは3つのユースケース(CBDC同士、フィアット同士、CBDC同士)に対応することを目指しているとのこと。

SWIFTは、2027年までに24兆ドル(約3,439兆円)を超える急増が予想される資産トークン化市場に参入する計画を発表しており、株式、債券、商品、不動産など流動性の低い資産のトークン化が盛んになる中、銀行や証券会社は最新のトレンドに対応している。というのもSWIFTは、フラクショナル化を活用して流動性とアクセシビリティーを高めることを目指しており、2022年第1四半期に、中央プラットフォームとしての信頼できる役割を活用。発行、配達対支払、償還のプロセスを探り、摩擦のないシームレスなトークン化資産市場をサポートする一連の実験を計画しているとのこと。