SBIホールディングスが戦争を理由にロシアでのマイニング事業を閉鎖

SBIホールディングスがシベリアのマイニング事業を閉鎖へ

オンライン金融サービスを提供するSBIホールディングス(東京都港区、北尾吉孝代表)は、進行中のロシアによるウクライナ侵攻による不確実性と、市場の低迷による収益性の低下を理由に、ロシアのシベリアでの仮想通貨マイニング事業を閉鎖する予定であることが分かった。

SBIによるロシア・シベリアからの撤退決定は、進行中のロシアとウクライナの戦争による地政学的な不確実性と、長引く市場の低迷による仮想通貨マイニングの収益性の低下を考慮して下された事がメディアによって報じられており、匿名の広報担当者が語っているとのこと。また、同社の勝地秀行氏CFO(最高財務責任者)は、大手メディアのブルームバーグの取材に対し、次のように語っている。

今週初めに機械を売却して撤退する計画を発表しました。

ただし、いつ撤退を完了するかなどの詳細は現段階で明らかにされていない。

撤退による損失は膨大

SBIホールディングスは2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻した直後、セルビアでのマイニング事業を停止している。

セルビアのマイニング業以外に同社はロシアで他の仮想通貨ビジネスを行っていないものの、モスクワの商業銀行部門であるSBI Bank LLCは業務を継続するとのことだ。同社は、今回の決定により、6月30日までの3カ月で97億円に上る税引前損失と24億円の純損失が発生しており、同グループにとって10年ぶりの四半期の損失になったとのこと。

マイニング稼働知としてのロシア

シベリアは、低エネルギーコストに注目したマイニング事業者により、マイニング候補地として急浮上していた地域である。

中国政府によって2021年5月以降、仮想通貨マイニング事業が禁止された後、この傾向はより勢いを増している。2022 年 5 月にロシア工業省が提供した推定によると、仮想通貨マイナーはロシアの総エネルギー消費量の2%以上を占めており、農業の消費量を上回っている状況で、ウラジミール・プーチン(Vladimir Putin)ロシア大統領は、ロシアが仮想通貨マイニングのハブとして台頭することに熱心であると言われ、「余剰電力」と十分に訓練された人材を利用できることを示唆している。さらに、ロシアの議員は今年6月に、デジタル資産発行者と、その情報システム運営者に付加価値税免除提供を提案し、承認されている。

ロシアの仮想通貨マイニングが壁にぶつかる

ロシアによるウクライナ侵攻は、マイニングハブになるというロシアの野望にストップをかける結果となっている。

仮想通貨マイニング企業に対する最初の制裁の1つで、USDT(United States Department of the Treasury=米国財務省)は、ロシアでの事業を理由に、最大のビットコインマイニング企業の1つであるBitRiverを追跡。しかし、米国の制裁は、BitRiver がロシアの石油大手であるガスプロムネフチ(Gazpromneft)社と仮想通貨マイニングプロジェクト開始する計画にブレーキは掛けられていない。

これまでに、仮想通貨マイニング業者の中で、Compass Mining はシベリアでのマイニング事業の閉鎖を発表し、3,000万ドル(約41億円)相当のハードウェの清算を申し出ているほか、Visa、MastercardやPayPalなど、複数の大手企業は、米国の制裁を受けてロシアから離れている。

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