米国政府が初の仮想通貨制裁回避訴訟を開始

DOJが制裁逃れに関する初の裁判を開始

コロンビア特別区の米国連邦地方裁判所に提出された意見書によると、DOJ(United States Department of Justic=米国司法省)は最近、仮想通貨を利用した制裁逃れに関する初の裁判を開始したことが明らかになった。

米国政府は、仮想通貨を故意に使用して制裁を回避したとして、制裁対象国でオンライン決済プラットフォームを運営した被告を告発。また、被告は米国を拠点とする仮想通貨取引所のアカウントを作成し、ビットコイン(Bitcoin/BTC)を売買しており、外国にある取引所の他の2つの口座に数千ドルを送金したほか、被告はその2つの口座を使って、米国と制裁対象国の間で1,000万ドル(約13億円)以上のビットコインを送金していたとのこと。

被告が送金を行っていた制裁対象国には、ロシア、キューバ、北朝鮮、シリア、イランなどが含まれており、刑事訴追案件を進める可能性があり、法廷文書によると、次のように記載されている。

ペイメントプラットフォームは、追跡不可能とされる仮想通貨取引などを通じて、米国の制裁を回避するためのサービスを宣伝していた。


OFACが提唱する制裁や規制にも違反していた

被告は、仮想通貨は追跡不可能だと考えていたため、自分のサービスが制裁を回避した事実を隠す事もせず、米国の制裁を回避できると誇らしげに語っていたと報告されている。

DOJは今回の被告の行為について、IEEPA(国際緊急経済力法)に違反し、それらの行為は、OFAC(外国資産管理局)が提唱するさまざまな制裁や規制にも違反しているとの見解を示している。というのも米国は現在、北朝鮮、キューバ、イラン、シリア、ベネズエラ、そしてロシアに対してのみ包括的な制裁を実施している。実際、OFACは米国の制裁を管理する役割を担っており、ロシアがウクライナに軍事侵攻した後、同庁は米国居住者に対し、デジタル資産をロシアに拠点を置く特定の団体や個人のために利用しないよう警告している。

OFACが制裁対象としている団体には、ロシアに拠点を置くダークネット市場Hydra、仮想通貨マイニングサービスプロバイダーBitRiver、デジタル通貨取引所Garantexなどが含まれており、これらを特別指定国民リストに加え、米国人が彼らとビジネスを行うことを原則禁止する指定を行っている。

一方で、米国の検察は過去にも仮想通貨を含む他の犯罪を追求しており、NEXTMONEYの特集記事「米国仮想通貨専門家が北朝鮮への制裁逃れをほう助し共謀した罪を認める」で報じているように、イーサリアム開発者のバージル・グリフィス(Virgil Griffith)氏と他の2人は、2019年から北朝鮮のブロックチェーン技術開発を支援した後、同様に制裁違反で起訴されている。

米国仮想通貨専門家が北朝鮮への制裁逃れをほう助し共謀した罪を認める

2021.09.28