DeFiセクターの給与は引き続き高い競争力を維持
英国の人材アドバイザリー会社ダールストンパートナーズ(Durlston Partners)の最新調査で、DeFi(分散型金融)セクターの給与は引き続き高い競争力を保っていることが明らかになった。
世界経済が逆風に直面する中、世界中の伝統的企業がリストラという難しい選択に取り組んでおり、メタ(Meta)、マイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)、ツイッター(ツイッター)といったハイテク大手も例外ではなく、何千人もの従業員に影響を与える大規模なレイオフを実施している。
それでもDeFiエンジニアの基本給は、2021年、2022年ともに横ばいであり、各四半期の平均給与は10万ポンド(約1,800万円)~12万5,000ポンド(約2,300万円)。2022年第4四半期の給与は大幅に上昇し、平均142,500ポンド(約2,600万円)に達している。これは、2023年のDeFiのポジティブな傾向を示しており、2022年危機の後、仮想通貨経済とDeFi経済が劇的な逆転を見せたにもかかわらず、給与は改善している。
DeFi関連の給料を押し上げている要因
DeFiの給与をインフレの流れに逆らって押し上げている要因の一つは、DeFi開発者やエンジニアの人員不足に加え、彼らのスキルは専門的なため、高報酬を得られることにある。
2022年の金融スキャンダルや不安定な動きにより、信頼が失われたり、高度なスキルを持つDeFiプロフェッショナルの報酬体系が悪化したりしたわけではない。次の暴落を避けようとする雇用主が、彼らのサービスをより切実に必要としているのかもしれない。実際、2022年の市場低迷期でさえ、DeFiエンジニアは事業活動の維持に欠かせない存在であり、通常、景気後退の影響を受けやすい他の職種とは異なり、彼らはコスト削減策に直面する最後の一人である。
テクノロジーへの関心低下もDeFiへの関心は維持を継続
一般の人々のテクノロジーへの関心が低いにもかかわらず、給与は維持されており、グーグルトレンドによると、2021年7月以降、DeFiへの関心は長期的に低下している。
しかし、一度成長中のエコシステムに参入したユーザーは、そのまま留まることが多く、2023年は、DeFiセクターの短い歴史の中で、相対的に安定した最も長い期間となると見られている。現在、DeFiLlamaによると、TVL(ロックされた金額の合計)は今年の大半を堅調に推移した後、458億1,300万ドル(約6.6兆円)となっている。DeFiは2020年後半に離陸し、その後2021年から2022年にかけての強気相場で記録的な成長を遂げ、熟練した専門家に対する需要は相変わらず旺盛だ。
一方で、Durlston Partnersのマネージング・パートナーであるメラジ・バハラム(Meraj Bahram)氏は、2023年いっぱいは安定した給与の伸びが見込まれると述べてたうえで、次のように語っている。
ソフトウェアやDevOpsエンジニアのようなDeFiエンジニアの仕事は、仮想通貨市場を苦しめているボラティリティ(価格変動差)と不確実性の情勢の中、頑丈であることが証明されている。仮想通貨市場が回復し、企業が安定を取り戻すにつれ、エンジニアはますます希少になり、非常に求められる人材となるだろう。
DeFiを含むすべてのセクターは、インフラ構築のため、人材に依存している。企業は頭脳流出を避けるため、より良いインセンティブとパッケージでプロフェッショナルを維持しようとしており、DeFi各社は、人材獲得において驚異的な業績を上げており、その結果、著しい成長を遂げている。