IMFは仮想通貨マイニングが制裁の対象となる国を支援する可能性があると警告

IMFが仮想通貨マイニングについて警告

IMF(International Monetary Fund=国際通貨基金)は最新報告書の中で、ロシアは仮想通貨のマイニングに有利な地理的特性を生かすことによって、経済制裁を逃れる可能性があると警告していることが明らかになった。

IMFはロシアが輸出できない余剰エネルギー供給を活用し、仮想通貨トランザクションを検証するのによりエネルギー集約的な方法である、マイニングに電力を供給する可能性を警告している。同報告書によると、仮想通貨マイニングによる制裁回避は現時点ではごくわずかであるが、政府は将来的にマイニング事業を拡大し、取引手数料から収入を得る可能性があるとのこと。

仮想通貨マイニングの面で優位なロシア

ブルームバーグの報道によると、1,700万人以上のロシア人が仮想通貨を所有し、その資産は約16兆5000億ルーブル(約2,140億円)にものぼり、この数字は仮想通貨の総資本額の約12%に相当している。

これに対してUSDT(United States Department of the Treasury=米国財務省)は、ロシアとその同盟国がビットコインマイニングを通じて経済制裁を回避することを防ぎたいと考えており、ロシアが仮想通貨マイニングの面で比較優位性を有していることを明らかにしており、USDTは次のように語っている。

ロシアは、エネルギー資源と寒冷な気候のため、仮想通貨マイニングの比較優位性を持っています。しかし、マイニング企業は輸入されたコンピューター機器と不換紙幣の支払いに依存しているため、制裁の影響を受けやすくなっています。

実際、4月20日、OFAC(Office of Foreign Assets Control=米国財務省外国資産管理室)は、モスクワに拠点を置く仮想通貨マイニング企業であるBitRiverを制裁し、米国市民との取引関係を一切禁じている。というのも、ロシアの商業銀行TranskapitalbankとBitRiverの子会社10社とスイスにある持ち株会社は、ロシア連邦によって所有または支配されているという疑いがかけられている。

仮想通貨による制裁回避は主要手段にならない可能性が高い

ロシアが国際的な制裁を回避する可能性のある方法として仮想通貨を挙げたことから、米国上院議員のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)氏は、世界の仮想通貨業界全体に米国の制裁を実施するための法案を提出している。

ロシアのプーチン大統領が仮想通貨の規制が注目されていると述べたように、仮想通貨マイニングは経済制裁を回避するための政府の主要な手段になる可能性が指摘されている。

一方で、仮想通貨取引所Binanceのジャオ・チャンポン(Changpeng Zhao:趙 長鵬)CEO(最高経営責任者)は、ガーディアンとのインタビューで次のように語っている。

ロシアにとって仮想通貨は小さすぎます。今日の仮想通貨の普及状況を見ると、何らかの仮想通貨に触れているのは世界人口の3%程度でしょう。その中でも、ほとんどの人は純資産の数パーセントしか仮想通貨を持っていません。現在、仮想通貨に投資しているのは世界の純資産の0.3%未満に過ぎないでしょう。

ジャオ氏が指摘するように、ロシアが経済制裁に仮想通貨を利用しているとしても、その効果は限定的であり、主要な手段にはならない可能性が高いとみられる。