プロトタイプ「ProjectLithium」を開発
米国の証券処理業者であるDTCC(DepositoryTrust&Clearing Corporation)は、最新プレスリリースでCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の潜在的なメリットを測定し、そのような資産が実際にどのように機能するかを研究するためのプロトタイプ「ProjectLithium」を開発した事を発表した。
DTCCは、分散型台帳テクノロジー(DLT)を活用して、米国の清算および決済インフラストラクチャーでCBDCがどのように機能するかを研究するための初めてのプロトタイプであると述べている。「ProjectLithium」として知られる同プロトタイプは、米国の市場インフラストラクチャーが、FRB(Federal Reserve Board=米国連邦準備制度理事会)が発行する毎日の支払い用デジタル通貨をサポートできるかどうかをテストする。ビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)などの仮想通貨とは異なり、CBDCは連邦準備制度の支援を受けており、実際の米ドルと同じ価値を有する。
DTCCはCBDCのメリットを調査
今回のプロジェクトを通じて、DTCCはCBDCのメリットを測定し、支払い管理における同社互換性の将来設計を通知する。
発表によると、主な目標は、「リアルタイム配信対支払い(DVP)決済の参加者間で、現金トークンの直接的な二国間決済を実証すること」だという。DTCCは、小売および卸売取引のためにいくつかのパイロットプログラムを発表し、それらが米国の市場インフラストラクチャーにどのように適合するかを検討していく。このリリースでは、カウンターパーティリスクの低減や流動性の罠、資本効率の向上、取引の透明性など、CBDCのさまざまなメリットも示されているとのことだ。DTCCは、米国のCBDCに関する議論を主導する非営利団体であるデジタルドルプロジェクトと共同でパイロットプログラムを開発しており、後者の共同創設者兼執行会長であるクリストファー・ジャンカルロ(Christopher Giancarlo)氏は次のように述べている。
CBDCは、時間とコストの効率を改善し、中央銀行のお金と支払いへのより広いアクセスを提供し、すべてがますますデジタル化する世界で物理的な現金の機能をエミュレートする可能性があります。
バイデン大統領は政府機関にCBDCの調査を命じる
米国のジョー・バイデン(Joe biden)大統領は、FRBが発行したCBDC開発の賛否両論を調査するよう政府機関に求める大統領命令に署名。
米国が独自のデジタル通貨の作成に遅れをとった場合、ドルが世界の準備通貨としての支配的な地位を失う可能性があるという懸念から命じたとみられる。一方、この命令は、FRBが米国CBDCの研究、開発、評価の取り組みを継続することを奨励し、議会に投資家を保護し、責任あるイノベーションを導く実用的な政策を提供するよう求めている。