カタールがCBDCレースに参戦
カタールはCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)レースに参加し、デジタル銀行ライセンスの発行を開始したいと考えていると、フィンテックセクターのQCB(Qatar Central Bank=カタール中央銀行)責任者が述べている事がわかった。
QCBは、CBDCの調査、開発、立ち上げなど、商品をデジタル化することを計画しており計画の一つとして、デジタル銀行免許の発行も含まれているという。第8回ドーハイスラム金融会議(8th Doha Islamic Finance Conference)で、QCBのFinTechの責任者であるアッラヌード・アブドゥラ・アル・ムフタ(Alanood Abdullah Al Muftah)氏は、組織の新しいデジタル化された方向性について概説。同銀行は、今後数カ月で明らかになるさまざまなイニシアチブの調査を開始しており、次のように語っている。
フィンテックのさまざまな側面と分野を研究しようとしており、私たちは方向性を定めようとしています。各中央銀行は、グローバル市場でのデジタル銀行の重要性の高まりを考慮して、デジタル銀行を研究する必要があります。
ムフタ氏は、QCBによる製品の発売準備はまだ遠い、と述べており、現在のところ、同銀行はCBDCが地域の金融情勢に影響を与える可能性があるかどうか、また、どのように影響を与える可能性があるかを判断するための調査段階にあると述べている。
一方、同じくカタールの大手銀行であるDukhanBankので(Narayanan Srinivasan)COO(最高執行責任者)兼デジタルオフィサーは、同会議で、DukhanBankはカタール国内にデジタル銀行を設立したいと述べ、特定の決済サービスにブロックチェーン技術を採用することを計画していることを明らかにしている。
世界のCBDC開発状況と米国の現状
CBDC開発の面で世界的なリーダーの1つであり、実際のテストが複数報告されている中国を除いて、ここ数年で数多くの国々がCBDCの開発および調査に乗り出している。
当NEXTMONEYの特集記事「ジャマイカの中央銀行が今年8月にもデジタル通貨テストパイロット開始へ」や「ジャマイカ銀行はまもなく展開されるCBDCパイロットを完了」で報じているように、BOJ(Bank of Jamaica=ジャマイカ中央銀行)は最近、4月1日までにウォレットを設置した最初の10万人の市民に16ドル(約1,920円)相当のCBDCを空中投下したいと述べている。
さらに、当NEXTMONEYの3月21日付特集記事「カナダ銀行とMITが共同でCBDC研究へ」で報じているように、カナダの中央銀行にあたるBoC(Bank of Canada=カナダ銀行)とMIT(Massachusetts Institute of Technology=マサチューセッツ工科大学)が協力し、CBDCの長所と短所を研究および調査している。
米国は実際にCBDCレースに乗り遅れている感が否めないスタンスを取り続け、開発を開始するべきかどうかを明確に決定することなく、何年にもわたって慎重なアプローチをとってきたが、最近では、FRS(Federal Reserve System=米国連邦準備制度)も中央銀行のデジタル通貨のプラス面とマイナス面を考慮し始めただけに、本格的な開発に乗り出すのも、そう遠くないのではないかと期待されている。