インドのデジタルルピーが国営ウォレットの発売で監視される可能性浮上

インド国営デジタルウォレット発売で政府による監視か

RBI(Reserve Bank of India=インド準備銀行)が発行する予定のCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)であるデジタルルピーが、国営ウォレットの発売で、すべての取引は政府の監視にさらされる可能性が浮上している。

インド政府は、デジタル通貨を保持するために国が支援するウォレットについて、正確な日付はまだ決まっていいないものの、発売される計画だ。また、デジタル通貨は次の会計年度に発売される可能性がある。デジタル通貨は、電子形式の法定通貨になる可能性があり、発行されたデジタル通貨はすべて、流通している通貨に含まれる計画で、通常と同様の単位で発行される。

今回発売が計画されている事がわかったインド国営のウォレットは、プライベートウォレットとは異なり、政府がすべての取引に関与することを可能にし、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与などの違法目的で資金が使用される恐れを軽減する狙いがある。通常ユーザーは、第三者のウォレットに資金を送金し、そこから支払いが行われる。これで、デジタルルピーは、仲介者なしで転送され、商品やサービスの支払いができる。

デジタルルピーに注力を注ぐ財務大臣

2022-23年予算の最近の発表で、インドのニルマラ・シタラマン(Nirmala Sitharaman)財務大臣は、デジタル通貨は、より効率的で安価な通貨管理システムにもつながるとみている。

同財務大臣は、デジタルルピーの展開に伴う正確な規制については詳しく説明していない。デジタルルピーブロックチェーンは、RBIによって開発されており、国家安全保障と財政の安定性の観点から、“プライベート仮想通貨”に激しく反対している。さらに同財務大臣は、最近、すべての仮想通貨の譲渡に対し、30%の税金を課しており、仮想通貨が法定通貨と見なされることはないと述べている。

インド国内では高い仮想通貨税に批判の声も

シタラマン財務大臣による仮想通貨取引きへの課税発表は、これまで長らく仮想通貨が禁止されるのではないかとの恐れを和らげたものの、30%の課税は高きすぎるとの批判が噴出した。

この批評に関する請願は52,000以上の署名を集め、批評家は、仮想通貨活動は雇用を提供し、課税30%の提案の改訂を要求する計画のほか、仮想通貨税が株式に支払われるものと同じように扱われることを望んでいる。特に、より包括的な記録管理と身元の開示を提案している米国のIRS(Internal Revenue Service=米国内国歳入庁)とは異なり、仮想通貨を使ったマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与などの違法行為を防ぐ手段および方法については言及されていない。